出光美術館で開催されている「出光佐三、美の交感(波山・放庵・ルオー)」展に行ってきました。出光美術館の初代館長の出光佐三さんが、同時代の3人の作家たちと関わった軌跡をもとに企画された美術展です。陶芸家の板谷波山のやきもの、小杉放庵とルオーの絵画の3種類の作品で構成されており、とても楽しめました。
2年ほど前、板谷波山という陶芸家のやきもの展が、しもだて美術館、廣澤美術館などで開催されている情報を知り、車を飛ばして見に行った事がありました。その時初めて見た板谷波山の美しい焼きものの驚きと感動は、今でも強く印象に残っています。板谷波山の生涯を描いた映画「HAZAN」も廣澤シティで同時に上映されており、この映画も印象的でした。波山の焼きものに対する一途で厳しい姿勢は、長年の極貧生活の中でも揺るがず、ようやく奇跡のような陶芸作品が生まれたその行程は、想像を絶する世界です。映画の終わりで、波山の陶芸の真髄を認めて高く評価し、これから先、作品を買い取るというスポンサーが登場しますが、その人物が出光佐三さんだったのだ、と繋がりました。あの映画をもう一度見れないかしらん?
今回の出光美術館では、波山の小ぶりな作品が多く、個人的に好きな作品がたくさんありました。掌にすっぽりと入ってしまうような美しい香炉や花瓶、一輪挿しは独特の世界観があり、惹き込まれてしまいます。中でも、出光佐三さんが初めて見て感動した「葆光彩磁葡萄文香炉」、「葆光彩磁花卉文花瓶」→漢字が難しい!(ほこうさいじはなくさもん)と読むのかな?(>人<;)、「葆光彩磁紅禽唐草小花瓶」(掌に乗る一輪挿しの小さな花瓶)が素敵でした。波山の「葆光彩磁(ほこうさいじ)」というのは、白地で光沢がなく、ヴェールをかけたような感じで、でも涼やかでしっとりしており、何とも言えない幽玄さがあります。やきものについては全く知識がありませんが、一目見て、とてつもない時間と行程をかけて、奇跡のような瞬間に生まれる焼きものなのだろう......φ( ̄ー ̄ )と想像がつく感じです。私の好きなロイヤルコペンハーゲン、エミール・ガレなどにも影響を受けたようだとの解説がありました。
小杉放庵は、どの作品にもおおらかさを感じます。風景の中に小さく描かれた人物は愛嬌があり、思わず心が緩みます♪(´ε` )。油彩画と日本画で自身の理想像を追求した画家のようですが、個人的には水墨画がお気に入りとなりました。ルオーは、ステンドグラスの職人だったこともあり、窓枠の中にハマっているように感じる宗教画でした。どれも独特の色使いやタッチで面白いのですが、宗教画ということもあり、ルオーばかりダーッと沢山並んでいたら、キリスト教徒でない私には少し息苦しいかも.....?
3人の作家の作品が、心地良い配置で展示されていましたが、こういう配置って、どうやって決めていくのでしょうね...?以前、「ぶらぶら美術館」という美術番組があり、肩肘を張らない、美術展の裏側なども垣間見えるお気に入りの番組だったのですが、なぜか突然、打ち切りとなってしまいました。10年も続いていたのに...... また復活してくれないかしらん♪( ´θ`)
2024年06月28日 23:35