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春原恵子ピアノリサイタルを聴いて

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春原恵子ピアノリサイタルを聴いてきました。スカルラッティ、J.S.バッハ、モーツァルト、ドビュッシー、ショパンの5人の作曲家の作品を演奏する多彩な曲目のピアノリサイタルでしたが、偶然、私の好きな曲ばかりのプログラムだったので楽しい晩となりました。J.S.バッハのパルティータ第2番は、アーティキュレーションの作り方をもう少し自由に冒険しても良いのでは?と感じましたが、その直後のモーツァルトのソナタKV576は、とても生き生きとした演奏で、スーッと耳に心地よかったです。後半のドビュッシーの映像第2集の中の第3曲「金色の魚」、「喜びの島」が非常にこなれた演奏でとても印象に残りました。聴きながら瞼に映像が浮かんできて、帰宅後、自宅の画集を2冊引っ張り出してしまいました♪( ´▽`)

以前、ブリヂストン美術館(現在のアーティゾン美術館)で開催されたドビュッシー展で、ドビュッシーが所蔵していた蒔絵の箱の蓋が展示されていましたが、これは直接的にドビュッシーの作品のイメージとなったものです。水中に遊ぶ鯉の姿が描かれており、ドビュッシーが夢中になって集め、影響を受けた日本美術の1つです。金箔を細かくした粉で紋様を描く「蒔絵」は、尾形光琳などの江戸琳派も多くの作品があって私も大好きですが、この金色の鯉がピチピチと動き回る様を連想しながら演奏を聴くのは楽しいものです♪(´ε` )

「喜びの島」は、ヴァトーの絵画がドビュッシーのイメージの霊源と言われていますが、私の持っているヴァトーの画集には、「シテール島の巡礼」と「シテール島への船出」の2つが載っています。ドビュッシーはどちらの絵も見たのかしらん?愛と至福の島であるシテール島をテーマに、恋人たちの様子が描かれています。どちらの絵も、恋人たち以外に沢山のキューピッドがいるのですが、「シテール島への船出」のキューピッドの数があまりに多く.....(笑)一体、何人いるのか?と思って数えてみたら、なんと45人 ('◉⌓◉’)!!1717年に描かれた「巡礼」では15人だったのですが、これでは足りなくて、1年後に描かれた「船出」では45人に増やしたのでしょう(笑)さぞ恋人たちは幸せになることでしょう☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆


<金の魚 蒔絵>IMG_5871_コピー  


 <ヴァトー シテール島への船出>IMG_5873_コピー


      
                          


            
                 
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2024年07月16日 23:40

「出光佐三、美の交感」展

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出光美術館で開催されている「出光佐三、美の交感(波山・放庵・ルオー)」展に行ってきました。出光美術館の初代館長の出光佐三さんが、同時代の3人の作家たちと関わった軌跡をもとに企画された美術展です。陶芸家の板谷波山のやきもの、小杉放庵とルオーの絵画の3種類の作品で構成されており、とても楽しめました。

2年ほど前、板谷波山という陶芸家のやきもの展が、しもだて美術館、廣澤美術館などで開催されている情報を知り、車を飛ばして見に行った事がありました。その時初めて見た板谷波山の美しい焼きものの驚きと感動は、今でも強く印象に残っています。板谷波山の生涯を描いた映画「HAZAN」も廣澤シティで同時に上映されており、この映画も印象的でした。波山の焼きものに対する一途で厳しい姿勢は、長年の極貧生活の中でも揺るがず、ようやく奇跡のような陶芸作品が生まれたその行程は、想像を絶する世界です。映画の終わりで、波山の陶芸の真髄を認めて高く評価し、これから先、作品を買い取るというスポンサーが登場しますが、その人物が出光佐三さんだったのだ、と繋がりました。あの映画をもう一度見れないかしらん?

今回の出光美術館では、波山の小ぶりな作品が多く、個人的に好きな作品がたくさんありました。掌にすっぽりと入ってしまうような美しい香炉や花瓶、一輪挿しは独特の世界観があり、惹き込まれてしまいます。中でも、出光佐三さんが初めて見て感動した「葆光彩磁葡萄文香炉」、「葆光彩磁花卉文花瓶」→漢字が難しい!(ほこうさいじはなくさもん)と読むのかな?(>人<;)、「葆光彩磁紅禽唐草小花瓶」(掌に乗る一輪挿しの小さな花瓶)が素敵でした。波山の「葆光彩磁(ほこうさいじ)」というのは、白地で光沢がなく、ヴェールをかけたような感じで、でも涼やかでしっとりしており、何とも言えない幽玄さがあります。やきものについては全く知識がありませんが、一目見て、とてつもない時間と行程をかけて、奇跡のような瞬間に生まれる焼きものなのだろう......φ( ̄ー ̄ )と想像がつく感じです。私の好きなロイヤルコペンハーゲン、エミール・ガレなどにも影響を受けたようだとの解説がありました。

小杉放庵は、どの作品にもおおらかさを感じます。風景の中に小さく描かれた人物は愛嬌があり、思わず心が緩みます♪(´ε` )。油彩画と日本画で自身の理想像を追求した画家のようですが、個人的には水墨画がお気に入りとなりました。ルオーは、ステンドグラスの職人だったこともあり、窓枠の中にハマっているように感じる宗教画でした。どれも独特の色使いやタッチで面白いのですが、宗教画ということもあり、ルオーばかりダーッと沢山並んでいたら、キリスト教徒でない私には少し息苦しいかも.....?

3人の作家の作品が、心地良い配置で展示されていましたが、こういう配置って、どうやって決めていくのでしょうね...?以前、「ぶらぶら美術館」という美術番組があり、肩肘を張らない、美術展の裏側なども垣間見えるお気に入りの番組だったのですが、なぜか突然、打ち切りとなってしまいました。10年も続いていたのに......  また復活してくれないかしらん♪( ´θ`)



                          


            
                 
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2024年06月28日 23:35

雪舟伝説展

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京都の国立博物館で開催されている「雪舟伝説展」を見に行ってきました。雪舟の絵は、以前から一度しっかり見てみたいと思いつつも機会がなく、ようやくお目にかかれましたが、一目見たら忘れられない強烈なインパクトを受け、衝撃的でした。非常に見応えのある美術展で、京都まで行って良かった)^o^( 〜。この美術展は巡回がなく京都でしか見られないのでした。雪舟はなんと6点もの絵が国宝に指定されている日本画家の祖とも言える画家ですが、その国宝全てがこの展覧会に集結しており、生の絵からしか感じ取れない凄み、強靭な世界を満喫できる秀逸展でした。後の日本画家たちがこぞって模写したのが頷ける水墨画は、墨だけでこれほど強い絵が描けるものなのか......と、絵を前にしても驚くばかりです。

以前、京都の智積院で、田淵俊夫画伯の描いたなんとも美しい水墨画に感動したことがありました。桜を描いた田淵画伯の水墨画は、墨なのにほんのり桜色を感じる本当に美しいもので、もう一度見に行きたいと思いますが、雪洲の水墨画はそれとは全く逆の強烈さ、アクの強さがあります。特に国宝の「天橋立図」「四季花鳥図屏風」では釘付けになり、見たままではなく画像を組み合わせ構成する独特の世界観に惹き込まれました。また、中国の画家の画風を真似て描いた連作は、全く異なる画風なのに雪舟の絵になっており、僕はどうにでも描けるんだよ....と言わんばかりの感性の柔軟さに驚きました。この展覧会は、雪舟だけでなく、狩野探幽、曾我蕭白、長谷川等伯など、雪舟を尊敬して学んだ画家達の水墨画も数多く展示され、このレベルの展覧会には、なかなかお目にかかれないだろうと感じます。家の本棚は埋まっているのに、ついまた雪舟展の画集を買ってしまいましたΣ(-᷅_-᷄๑)

雪舟は「画聖」と呼ばれて尊敬されましたが、音楽にも「音楽の父」や「楽聖」と呼ばれる作曲家が存在し、芸術の世界は似ているなぁと感じます。「音楽の父」はJ.S.バッハ、「楽聖」と呼ばれるのはベートーヴェンですが、シューベルト、シューマン、ブラームス、ブラームスなど、多くの作曲家が研究し、学びました。ただ、音楽でも美術でも、「祖」となる芸術家は何もないところから独りで生み出した訳で、一体どれほどのエネルギーの強さや想像力の豊かさを持っていたのだろうか.....?と驚嘆するばかりです。

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2024年05月05日 13:05

芝木好子「光琳の櫛」

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芝木好子さんという女流作家の小説が好きで、数年ごとに幾度も繰り返し読んでいる本があります。芝木好子さんは、芸術に携わる人を描いた作品が非常に多く、日本の伝統美の世界を担っている職人さん、日本画家、華道家、陶芸家、染色家、芸術的なものをこよなく愛するコレクターなどをモデルにした、いわば芸術オタク気質の作家さんです。少し前の世代の作家さんのせいか、今は本屋さんの店頭に並んでおらず、古本屋さんでしか売っていない本も多いのが寂しいところです。ただ最近、昔の本も電子化されつつある時代なので、電子化してくれないかしらん?と熱望しています♪(´ε` )

江戸時代の文化で広がった女性の櫛は、当時、芸術的な作品も多数作られました。「光琳の櫛」という小説は、尾形光琳の櫛に出会うまでの櫛コレクターの女性が主人公ですが、この小説から色々な江戸時代の文化に触れることができ、源氏物語、伊勢物語、あるいは尾形光琳、原羊遊斎(蒔絵師)の世界が垣間見え、なかなか楽しいです。

20年以上前でしょうか、たまたま職場の交流会で行った奥多摩の「櫛かんざし美術館」で、この小説に描かれている櫛たちが展示されているのを見て非常にびっくりした('◉⌓◉’)、という体験をしました。小説に登場する芸術的な櫛たちが実際に目の前に現れたのですから、何だか狐につままれたような心地がしたのを覚えていますϵ( 'Θ' )϶

それ以後、櫛かんざし美術館のカタログを横に置き、「光琳の櫛」を読み進めながら、小説で描写されている櫛の写真をカタログから探し出し、「あ〜これだこれだ......」とリアルに小説を体験する遊びをするのが、数年ごとの癖になっています(^。^)  なかなかこんな事ができる小説は他にありません。蝶のコレクターの「黄色い皇帝」という小説でも、この遊びを実施するべく、世界の蝶🦋のカタログを片手に、この描写の蝶はどれかしらん?などと探して読みながら、その蝶が空に舞う姿を空想しています(^ー^)

小説に描かれた世界を体験する、映画のロケ地を巡る、これらは演奏とも似ている気がします。楽譜の奥に描かれた世界を想像して表現するのが演奏ですが、リアルに感じられてこそ、より自分の世界を体現するものになリますね.......



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2024年04月04日 11:02

中尊寺展

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上野の国立博物館で開催されている中尊寺展に行ってきました。時代劇や歴史好きなので、以前から中尊寺周辺に行きたいと思いながらも機会がなく、仏像だけでも見たいと思って出かけました。国立博物館の一室での小さな展示会でしたが、国宝の仏像群が美しく、作られた当時のままのお姿のようでした。奈良の古寺のような大きな仏像ではなく、意外に小ぶりの仏像で驚きましたが、端正なお顔、気品のある作りが印象的です。作られた当時は金箔が施されていた仏像でも、唐招提寺にしても薬師寺にしても、ほとんど金箔は剥げてしまっていますが、中尊寺の仏像は非常に美しかったです。この仏像を毎日眺めて拝んだであろう藤原家の方々から、大事に大事に守られて鎌倉時代から受け継がれてきたのだと実感しました。

私が古寺や仏像に興味を持ったのは、ある不思議な出来事でした。ある曲を聴いていた時、ふと目の前に、漆黒の闇の中に仏像が点々と浮かび上がり、まるで立体曼荼羅を見ているような錯覚を覚え、それがきっかけで実物の立体曼荼羅を見たくなってしまい、京都の東寺に出かけたのでした。

東寺の立体曼荼羅を見た後、他のお寺や仏像にも興味が湧き、古寺巡りをするようになりました。仏教には詳しくないのですが、古寺で仏像と対峙すると心がリセットされ、自分を見つめるような静かな時間になります。それが心地よく、京都や奈良へ毎年のように出かけています。

この仏像のお顔は良いなぁ、好きだなぁと思うものは無数にありますが、室生寺のご開帳で見た十一面観音菩薩像、秋篠寺の伎芸天像は、ほんのり色気を感じ♪( ´▽`)、今にも動き出しそうな芸術性を感じます。興福寺のご開帳で見た南円堂の木造不空羂索観音菩薩坐像、北円堂の木造弥勒如来坐像は、ド迫力で圧倒されますが、まだまだ修行のできていない私には、その悟りの世界にはとても入っていけそうもない近寄りがたさを感じます(>人<;)  唐招提寺の千手観音や、東大寺の大仏様は、その大きさゆえ、包み込まれるような安心感を覚えます。金峰山寺の金剛蔵王大権現は、過去、現在、未来を表した3体の怖いお顔の像ですが、我が身の修行の足りなさを叱りながらも受け入れてくれるように感じますm(_ _)m

仏像は秘宝ゆえに、ご開帳時にピンポイントで行かないと見られないものもありますが、たまにお会いするだけでちょっと幸せになります。現代人の私ですらそうなのだから、昔の人はさぞ癒されたことでしょう。

                          


            
                 
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2024年03月18日 00:02

北斎とドビュッシー

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先日、葛飾北斎にまつわる映画を見てから、ちょっと飛び火して過去の美術展カタログを引っ張り出して楽しんでいます。260年経った現代でも、北斎の想像力豊かな世界は私達を楽しませてくれます。北斎の活躍した江戸時代、浮世絵は海外に渡り、西洋の画家モネ、ゴッホ、ゴーギャン、ロートレックなどの画家に大きな影響を及ぼし、ドビュッシーも北斎に夢中でした。

2012年にブリジストン美術館(現 アーティゾン美術館)で開催された「ドビュッシー、音楽と美術」展では、ドビュッシーの所蔵品が展示され、その1つに蒔絵がありました。ドビュッシーのピアノ曲「映像」の「金色の魚」のイメージになった蒔絵で、金色の鯉が泳いでいる様が生き生きと描かれ、あぁ〜この蒔絵からあの曲がイメージされたのか♪( ´θ`)と感慨深かったのを覚えています。
2017年には、北斎と印象派の芸術家たちとの繋がりをテーマにした「北斎とジャポニズム」という展覧会が催されました。北斎と似た構図の絵、北斎が模倣されている構図などが並べて展示されていて、こんなに世界中の画家に衝撃を与えていたのか.....と驚くものがありました。

7〜8年前には、ドビュッシーの音楽と北斎の絵がコラボする演奏会があり、狂喜しながら(*≧∀≦*)聴いたのを覚えています。北斎美術館の開館記念としてトリフォニーホールで開催されたパスカル・ロジェのピアノリサイタルは、ドビュッシーの24の前奏曲を、1曲ごとにロジェ自身が選んだ北斎の24枚の絵を見ながら演奏を聴くという催しで、あれは本当に楽しい演奏会でした.....( ´∀`)  ドビュッシーの前奏曲は1つ1つ名前がついていますが、それぞれの曲のイメージに合った絵が映し出され、聴き手のイマジネーションが広がるものでした。

ドビュッシーに限らず、ピアノを弾いていて目の前に映像が浮かんでくることがありますが、ドビュッシーの前奏曲は具体的な資料が残っているので参考になりますね。ただ、うーんこれは.....と個人的に思う曲もあります。前にリサイタルで第1集を弾こうかな?と考えた事がありましたが、う〜ん....「ミンストレル」が......(-᷅_-᷄๑) ちょっとふざけたユーモア溢れる曲ですが、どうも男性が弾いた方が様になる気がしてしまいます.....

世界の芸術家達に衝撃を与えた葛飾北斎ですが、90歳で死ぬ間際に「あと5年生きられたら真の絵師になれたのに」と言ったとか...... 何とも凄まじい言葉です。絶筆となった水墨画は、長野県・お布施の北斎館で見ましたが、富士山と昇天していく龍が描かれた完成度の高い絵で、まるで天と魂が繋がっているように感じました。あと5年生きたらどんな絵を描いていたのでしょうか......

      北斎とジャポニズム展カタログ IMG_5625_コピー
                        


            
                 
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2024年02月27日 21:01

北斎にまつわる映画

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葛飾北斎にまつわる映画「百日紅」と「Hokusai」を見ました。「百日紅」はアニメ映画で、北斎の娘・お栄(北斎の制作助手をしていた浮世絵画家・葛飾応為)の周りで起こる人間模様がほんわかと描かれています。雪景色の場面もしっとりして良いですが、お栄が描いた地獄絵が依頼人の奥方を悩ませるシーンが面白かったです。奈良・長岳寺で見た地獄絵を思い出し、確かに...( ̄▽ ̄;)と苦笑しました。その絵は北斎が筆を描き足して「なるほど〜」と落ち着きます。お栄(葛飾応為)は近年再評価されており、数年前、NHKで放映されたドラマ「眩(くらら)〜北斎の娘」も、芸術の本質や原動力が表現されている秀作ドラマでした。

「Hokusai」も見応えがありました。映画の設定としては、北斎の才能を見出した蔦屋重三郎との出会いに始まり、歌麿や写楽と出会って刺激を受けるものの、心の内から出る絵を描けず模索して自分の絵に到達する様が描かれています。絵でも音楽でも、“無“の状態から生み出す芸術家は、想像を絶するものがあります。演奏家は、既にある楽譜から作曲家の世界を垣間見、自分自身のイマジネーションを重ねて追体験していく訳ですが、何も無いところから生み出す人は、常人には無い強烈な原動力を心のうちに持っているのでしょうね....

そう言えば、来年2025年の大河ドラマの主人公は、喜多川歌麿や東洲斎写楽、北斎などを見出した蔦屋重三郎ですね!江戸文化がどういう風に発展し、どういう社会だったのか?、江戸時代好きとしては楽しみです♪( ´▽`) 蔦屋重三郎は歌麿や写楽を世に売り出した版元で、今で言うと出版業のスーパー実業家でしょうか?重三郎の亡くなった数十年後、北斎の「富嶽三十六景」がメガヒット作となりましたが、さぞ見たかったことでしょう。富嶽三十六景というと「神奈川沖浪裏」がダントツ有名ですが、個人的には「駿州江尻」がお気に入りです。強風に襲われて紙や菅笠が舞い、「ひゃ〜こりゃ参った!」と地面に踏ん張る旅人の声が聞こえてきます(笑)

葛飾北斎は、西洋の芸術家達に多くの影響を与え、モネやゴッホ、ゴーギャン、ドガなどの絵に反映されています。またドビュッシーも交響詩「海」のスコアの表紙に「神奈川沖浪裏」を模倣するほど、北斎に夢中でした。260年経った現代でも、北斎から広がる世界は私達を楽しませてくれます。それはまた次の機会に......
            
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2024年02月22日 23:25

川合玉堂「行く春」

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以前からどうしても一度見たかった絵にようやく会うことができました♪( ´▽`) 国立近代美術館所蔵、川合玉堂の「行く春」という屏風絵です。川合玉堂画伯は大好きな日本画家で、素朴な温かみや、どこか懐かしさのある日本の風景を多く描いています。個人的な趣味としては、自分が絵の世界に入り込んで想像を広げたり、絵の奥に物語や人の生活が垣間見えたりと、こちらが中に入れるような絵が一番好きですが、川合画伯の絵はそんな絵が多いです。他の作品は色々見てきましたが、この「行く春」に会う機会がなく、至福の時間を過ごしました。

近代美術館の所蔵作品展「MOMATコレクション」は、人気画家の企画展と違って人も少なく、広い空間で絵を独り占めでき、向かいの椅子に腰掛けてじぃ〜っと絵に見入ることができます。写真撮影も可能です。この絵が飾られた展示室に入った瞬間、絵の豊かな情景にうるうるし、心がほどけて絵の中に入り込んでしまうような臨場感がありました。ザワザワと波立つ流水、桜の花びらが風に吹かれて舞うさま、3隻の船と水車、本来ごつごつとした質感なのに白緑色や薄い浅葱色で描かれた岩が柔らかくも見えます。落ちた花びらは岩の狭間で揺れ動き、まるで天上の世界なのか......?とも思えますが、一人、手仕事をしている人がいるので現世の風景なのでしょう。

この絵をじっくり楽しんだ後にエレベーターで降りると、ちょうどガイドの方が絵を解説を始める現場に居合わせました。50分間無料で展示の中から3点、ガイドの方が解説しながら来場者たちの感想や意見も交えるもので、初めての体験でしたがとても面白かったです。「行く春」を正面ではなく左右から歩いて横から見る、という見方を教わり実行してみたらびっくり!!3隻の船が立体的に前面に出て来るような錯覚が.....  次に左端から歩いてみると、岩と桜の存在感が際立ち、波立つ水が遠くの方に見えます。正面からでは見えない感覚でした。六曲一双(6面✖️2隻)という計12面の立体的な屏風絵にした効果を川合画伯は計算していたのでしょうね.....   す・ご・い❤️

他にもパウル・クレーの「花ひらく木をめぐる抽象」、岸田劉生の「麗子像」や「道路と土手と塀」など、好きな絵に幾つも出会えました。そうそう、絵ではなく「眺めの良い部屋」という、道を挟んで皇居の堀や緑が見える窓の大きなリラックスできる部屋もあり、久しぶりに行った近代美術館を堪能しました。「行く春」の題材になった長瀞には、春になったら絶対行かねば......( ^ω^ )

右斜めからの「行く春」IMG_5613_コピー










                     


            
                 
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2024年02月08日 12:08

モネ展に行って

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先日、久しぶりに展覧会に行きました。上野の森美術館で開催されている「モネ 連作の風景」です。モネは人気のある画家ですが、私も大好きな画家の一人です。今回のモネ展は連作をテーマにしたのもで、同じ風景を何度も描き、その描き方に変化が生じている様を見られるものでした。同じ風景でも、色味の違いで少し抑えめだったり、幸せ感のある明るいものになったりと、画家の変遷ぶりを垣間見ることができました。

モネと言うと睡蓮の絵が有名ですが、私の個人的な好みとしては、雪景色を描いたものや、視線が遠くに行く遠近感のある絵の方に魅かれます。最近の展覧会では、写真を撮っても良い絵があり、その中の2点、写メを撮ってみました。上の写真は、「チャリング・クロス橋、テムズ川」という絵です。この絵に描かれた時間帯は一体何時頃なのでしょうか?朝焼けなのか、それとも夕暮れ時か....などと、絵の世界に入り込んで思いを馳せるのは楽しいものです。

右の絵は、「ジヴェルニーの風景、雪の効果」と言う絵です。IMG_5347_コピー


雪景色は題材として非常に好きなのですが、同じ雪景でもクールベが描くと凍てつくような寒々しさを感じ、印象派のシスレーが描くと、モネよりもクールで冬の厳しさを感じます。

10年以上前の美術展で、これとは違う雪景の絵に一目惚れした事がありました。モネの「かささぎ」と言う絵です。この絵は異なる時期に2回美術展で見ていて、2度目の時には修復が施され、きれいになっていました。その修復に関わったのが日本のチームだった為、そのタッチを再現する権利を得た(とお店の方が言っていました)「かささぎ」の複製画がショップで売られており、私の宝物になっています。

モネ「かささぎ」     IMG_5336_コピー

陽だまりのある雪景色は温かみがあり、木戸に止まったかささぎが、意外に存在感があります。絵の世界に没頭する時間は、頭の中が真っ白にリセットされる至福の瞬間です。昔、一度だけ見たカンディンスキー展、また開催してくれないかと何年も待ち続けていますが、ロシアの画家はなかなか難しい情勢なのでしょうねぇ.....





                          


            
                 
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2023年11月14日 15:05

おがさわらピアノ教室

【電話番号】 080-8132-4676

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東京都練馬区上石神井3丁目

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