北斎にまつわる映画
葛飾北斎にまつわる映画「百日紅」と「Hokusai」を見ました。「百日紅」はアニメ映画で、北斎の娘・お栄(北斎の制作助手をしていた浮世絵画家・葛飾応為)の周りで起こる人間模様がほんわかと描かれています。雪景色の場面もしっとりして良いですが、お栄が描いた地獄絵が依頼人の奥方を悩ませるシーンが面白かったです。奈良・長岳寺で見た地獄絵を思い出し、確かに...( ̄▽ ̄;)と苦笑しました。その絵は北斎が筆を描き足して「なるほど〜」と落ち着きます。お栄(葛飾応為)は近年再評価されており、数年前、NHKで放映されたドラマ「眩(くらら)〜北斎の娘」も、芸術の本質や原動力が表現されている秀作ドラマでした。
「Hokusai」も見応えがありました。映画の設定としては、北斎の才能を見出した蔦屋重三郎との出会いに始まり、歌麿や写楽と出会って刺激を受けるものの、心の内から出る絵を描けず模索して自分の絵に到達する様が描かれています。絵でも音楽でも、“無“の状態から生み出す芸術家は、想像を絶するものがあります。演奏家は、既にある楽譜から作曲家の世界を垣間見、自分自身のイマジネーションを重ねて追体験していく訳ですが、何も無いところから生み出す人は、常人には無い強烈な原動力を心のうちに持っているのでしょうね....
そう言えば、来年2025年の大河ドラマの主人公は、喜多川歌麿や東洲斎写楽、北斎などを見出した蔦屋重三郎ですね!江戸文化がどういう風に発展し、どういう社会だったのか?、江戸時代好きとしては楽しみです♪( ´▽`) 蔦屋重三郎は歌麿や写楽を世に売り出した版元で、今で言うと出版業のスーパー実業家でしょうか?重三郎の亡くなった数十年後、北斎の「富嶽三十六景」がメガヒット作となりましたが、さぞ見たかったことでしょう。富嶽三十六景というと「神奈川沖浪裏」がダントツ有名ですが、個人的には「駿州江尻」がお気に入りです。強風に襲われて紙や菅笠が舞い、「ひゃ〜こりゃ参った!」と地面に踏ん張る旅人の声が聞こえてきます(笑)
葛飾北斎は、西洋の芸術家達に多くの影響を与え、モネやゴッホ、ゴーギャン、ドガなどの絵に反映されています。またドビュッシーも交響詩「海」のスコアの表紙に「神奈川沖浪裏」を模倣するほど、北斎に夢中でした。260年経った現代でも、北斎から広がる世界は私達を楽しませてくれます。それはまた次の機会に......