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映画「海の沈黙」

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久しぶりに映画館に行き「海の沈黙」を鑑賞しました。昔からファンだった倉本聰さんが60年も温め続けた集大成の脚本、そして題材が芸術の話となると、劇場で観ない訳にはいきません。北海道が舞台の倉本さんの富良野ドラマ3部作「北の国から」「優しい時間」「風のガーデン」は大好きで何度も録画を見返していますが、今回の映画はそれを上回る渾身の作品かもしれません。「美」というものの価値、芸術の真の評価とは何か?、など中身のある題材がテーマですが、キャストが名優さん達ばかり、その魂のこもった演技に惹き込まれ、こういう映画を多くの人に見て欲しいなぁと切に感じました。美術を題材にした映画なので、さて一体どういう絵が登場するのだろう?と興味深々でしたが、出てきた絵に驚きました。凄みがあり、佐伯祐三を思い起こさせるような荒々しくザラッとした質感、一度見たら忘れない存在感です。高田啓介さんという画家の作品で、見る者をざわざわと揺さぶる厳しい絵でした。実際にあの絵を生で見てみたい......

映画のストーリーとしてはミステリータッチで、人の愛憎、嫉妬心などが美術界に絡んで描かれています。テーマである芸術の評価や価値は、美術だけでなく音楽その他、どの芸術にも共通してつきまとう話です。世間で話題になったり、コンクールで賞を沢山取ったからと言って、その人の表現が人の心を打つかというと、それはまた違う世界です。音楽の演奏会でも、技術的にはとても達者で文句なし、でもなぜか心に響いてこない......ということが良くあります。心の中から感じるものを、素直に感じるまま表現し、イマジネーションに富んでいる人の演奏は、有名人でなくても感動することもあります。画家や作曲家は何もない無から心の生き様を形にしますが、そこには、その人に取ってとても大事な人の存在が潜んでいたり、それが心の根源になり得ることもあります。それらが集約されたような映画作品でした。

倉本聰さんがこの脚本を書きたいと思われたきっかけが、鎌倉時代に作られて重要文化財に指定されていた古陶器の壺が、実は現代の陶芸家の作品だったと分かり、重文から外された、という話だそうです。昨日まで皆が美しい美しいと言っていたのに、時代が違うとわかった途端、評価が一変して価値が下がるのは変じゃないか?と......  ものの価値は、それぞれの人がそれぞれの感性でもって、あぁいいなぁ、これ素敵!と感じることに意味があり、そこに評価がついてくるものですが、悲しくもメディアの報道に振り回されることもしばしば見受けられます。

芸術の価値とは何なのか、真の美を見極めるとはどういうことなのか?、こういう中身の濃い本物の映画が日本アカデミー賞の最優秀作品賞を取って欲しいです。私自身も芸術に携わる人間として、自分の感性でものを感じ、真の美を理解できる人間でいたいものです。そうそう、映画を見ながら「このチェロいいなぁ.....」と思っていたら、間接的に知っていて何度か演奏を聞いたことのあるチェリストの奥泉貴圭さんでした。音楽は住友紀人さん。

倉本聰さんの書く脚本にはいつも色々考えさせられますが、録画した以前のドラマがまた見たくなりました。画質の良い「優しい時間」の再放送を長年待っているのですが...... このドラマで登場した窯元「皆空窯」には何度も足を運び、少しずつ食器を集めて日々使っています。


    皆空窯「優しい時間」マグカップ   IMG_6165_コピー
  
           
                          


            
                 
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2024年12月09日 11:15

ジャン=ギアン・ケラス&アレクサンドル・タロー デュオを聴いて

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王子ホールで開催されたジャン=ギアン・ケラス(チェロ)とアレクサンドル・タロー(ピアノ)のデュオを聴いてきました。以前から行きたいと思いながら今回初めてでしたが、何とも興奮した夜になりました。ジャン=ギアン・ケラスの何とパワフルなこと!チェロってこんなに鳴る楽器だったかなぁ('◉⌓◉’) 楽器も相当なのだと思いますが、パワフルさだけでなく、囁くような音、想いの籠った音、多彩な音色を自在に操る様を堪能しました。そしてピアノのアレクサンドル・タローのピアニズムがこれまた素敵......(*´◒`*) チェロに寄り添い、この二人はもしかして恋人かしらん?と思わせるような絶妙なコミュニケーションでした。小鳥のさえずりを思わせるようなピアノで、高音のppの何と美しいこと!!王子ホールのスタインウェイは何度か弾いた事がありますが、うーん、これ同じピアノよねぇ(^◇^;)とため息です。

プログラムは、前半がマラン・マレというフランスの作曲家のヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)曲集の組曲、第3巻と第4巻より。後半がフォーレのエレジー、夢のあとに、蝶々と、プーランクのソナタでした。前半の曲は初めて聴きましたが、マラン・マレは17世紀半ば〜18世紀にフランスで活躍したヴィオール弾きだそうで、バッハのパルティータの組曲と似た形式でした。プレリュード、アルマンド、サラバンドなど。古楽器の曲ですが、そこに現代の楽器でケラスとタローの演奏では斬新さが加わり、フレンチバロックと現代が融合され色鮮やかに甦った印象でした。手持ちのお気に入りCDに、カザルスがピアノのバウムガルトナーと録音したJ.S.バッハのヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ集がありますが、これは古めかしくて渋く、特に3番が素敵です。ケラスとタローの演奏は、これとは全く違い、いつか見た平等院鳳凰堂が、昔は古くて色褪せていたのに、数年前に当時の彩色に塗り直したら鮮やかでびっくり!!そんな感じかなぁ.....

フォーレの3曲は色っぽさが際立ち、うるうるする演奏でしたが、個人的にはもう少し渋くて懐古的な方が好きかも? でも最後のプーランクのチェロソナタは圧巻でした。これも好きな曲の1つですが、プーランクの軽妙さ、お洒落な色彩感、超弩級のリズム感、全てがセンス抜群で唸ってしまいました o(≧▽≦)o リズムに身体がついつい動いてしまい....(笑)あの曲、いつか演奏してみたいなぁ......アンコールの2曲も素敵で、特に2曲目のハイドンは、タローのピアノが凄すぎて仰天でした...... 速い小刻みの連打をどうしたらあんな軽やかに、まるで鳥の爪先立ち走りみたいに弾けるのかしらん? 違うプログラムの第2夜のチケットも取れば良かったとちょっと後悔......このお二人、超イケメンなのでチケットすぐ売り切れちゃうのです。きっと来年また来日してくれることでしょう。


      アンコール曲 IMG_6144_コピー


                          


            
                 
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2024年11月30日 23:45

「モネ 睡蓮のとき」展

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上野の西洋美術館で開催中の「モネ 睡蓮のとき」展を見に行きました。睡蓮やモネの庭にまつわる絵ばかりが一同に展示されるという特殊なテーマの美術展です。モネが自身で造ったフランスのジェヴェルニーの庭の睡蓮を描いた絵は数百点あり、その一部が展示されていました。モネは印象派のドビュッシーとも深い関係があり、私の大好きな画家の一人です。お気に入りの複製画も3点ほど持っていますが、個人的には睡蓮のモティーフより、違う風景の作品に惹かれます。ただ、今回の睡蓮の絵ばかりを展示した美術展はなかなか面白く、モネの制作過程も良くわかり、惹かれる絵もありました。睡蓮の絵は数百点も描かれているだけに、あぁすごくいい!と思う絵もあれば、う〜んこれはイマイチ、と思う絵もあるように思います。ただ、確実に言えるのは、モネの睡蓮に対する執着心の凄まじさで、視力が衰えてからも抽象画のように具象化された睡蓮の庭を描き続け、最後の方は異様な妖気さえ感じます。

睡蓮の絵は個人的にそれほど好みでないとは言え、昔一度だけ行ったことのあるフランスのオランジュリー美術館の楕円形の睡蓮の間は、感性を刺激される圧倒的な作品群で、あれを見ずにモネの睡蓮は語れないなぁと思います。その部屋に入った途端に身体の深奥にあるものを揺さぶられ、ツーと涙がこぼれてしまったのでした(T . T) ふと異次元の世界に連れて行かれ、天井からの柔らかい日差しの中で睡蓮の花がまるでその場に溢れ出すような感覚というのでしょうか。本物の睡蓮よりも迫力や妖気のようなものが匂ってくる感じです。今回のモネ展を見ながら、モネのジヴェルニーの庭には一度絶対行かなければ.....と再認識しました(笑)

今回のモネ展では、オランジュリー美術館の睡蓮の間に似せた部屋があり、色々なタイプの睡蓮の絵が点在する形で展示されています。これはこれで趣向を凝らしたもので、素敵な睡蓮の絵があり、写真を撮っても良い部屋だったので人で溢れかえっていました。時期的にテレビで色々と話題になってしまった直後で多くの人が写真を撮ったりと、あまり落ち着いて見れる環境ではなかったのがちょっと残念ですが、幸せな時間を過ごせました。複製画の1つにちょっと興味を惹かれましたが.......今回はお預けかな.... 余談ですが、山形美術館で見た吉野石膏コレクションのモネの「サンジェルマンの森の中で」複製画を、どこか日本の会社が作ってくれないかしらん?と長年心待ちにしています。以前、山形美術館でその絵に惹かれて買った複製画はあまり良い出来ではなく......(>人<;) 最近の技術開発された複製画が欲しい.....(^◇^;) あの絵にもう一度会いたいなぁ......山形はちょっと遠いのだけど....

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2024年11月26日 23:40

平泉「中尊寺」

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以前から行きたいと思っていた岩手県平泉の中尊寺を訪ねてきました。今年は金色堂が建立900年の節目の年です。中尊寺金色堂は建造物としての国宝の第1号であり世界遺産でもありますが、やはり「百聞は一見にしかず!!」。今年の3月に上野で中尊寺展が開かれ、美しい仏像群だけ先に見ていましたが、やはり岩手の地に赴いて金色堂の中に納められた仏様を見ると、あるべく場所にあると感じます。凛とした時が止まったような独特の世界観は一見の価値があります。金色堂内の螺鈿が施された柱などの細工も大変細やかで、900年前によくもこのような芸術性の高いお堂が建てられたものだと圧倒されました。松尾芭蕉の有名な「五月雨の 降残してや 光り堂」という句が正に言い得て妙、ピタリとハマります。広い境内をゆっくり歩きながら藤原三代の栄華、源義経や源頼朝との歴史に想いを馳せ、その儚さに物悲しさを覚えました。もし藤原四代目の泰衡公が、父・秀衡の遺言通り、義経を守っていたら歴史はどうなったのでしょう...... 芭蕉の「夏草や 兵どもが 夢の跡」の句が余韻を生みますね。この金色堂に藤原氏の遺骨と一緒に埋められていたハスの種が、昭和の調査で発見され、800年という長い時を経て、現在花を咲かせるまでになったそうです。これにはとても驚きました☆*:. o(≧▽≦)o 自然の生命力ってすごい!!

近くの厳美渓や毛越寺、「えさし藤原の郷」も見甲斐がありました。厳美渓の名物「空飛ぶだんご」は、河岸の向こうから結構な速さでロープを滑り降りてくる愉快なもので( ^ω^ )、毛越寺の庭園も美しかったです。少し離れた水沢江刺の「えさし藤原の郷」は、大河ドラマや時代劇のロケ地として名高く、「光る君へ」の五節の舞のロケにも使われています。お城の城柵や矢倉など、こういう場面があったあった,,,(^。^)と思い出しました。過去の大河ドラマ「麒麟がくる」「利家とまつ」「真田丸」「風林火山」「天地人」等々、ロケ現場では岩手県に住んでいる方が多数エキストラとして参加され、そのエピソードや動画の紹介もあり、時代劇ファンとしては面白かったです。龍笛の演奏体験ができるイベントもあったようですが、今回は日が合わず、ちょっと残念( ̄ー ̄ )龍笛、吹いてみたかったなぁ.....寝殿造の建物にピタリとハマることでしょう。はるか遠い時代の文化が垣間見え、歴史に想いを馳せる時間となりました。
    

中尊寺紅葉 IMG_6080_コピー

金色堂建立900年記念ご朱印 IMG_6099_コピー


えさし藤原の郷 IMG_6050_コピー

                          


            
                 
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2024年11月11日 22:32

シューベルト「冬の旅」

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サントリーホールで開催されたマティアス・ゲルネ(バリトン)とマリア・ジョアン・ピリス(ピアノ)のデュオリサイタルを聴いてきました。普段、声楽の演奏会を聴く機会は少ないのですが、非常に勉強になりました。シューベルトの「冬の旅」を休憩なしで90分、通して演奏する形のプログラムでしたが、最初のワンフレーズから魅了されました。私がピアノ科なので、どうしてもピリスのピアノの方に耳が吸い付いてしまうのですが、ピアノの音がこれほど色が豊かで色彩が変化するのか.....Σ('◉⌓◉’)と驚嘆するばかりです。音数が少ない曲ほど、一音一音に込められた音への想いや内容の濃淡の違いが現れますが、ピリスのピアノは音数の少ない曲ほど、物言うものでした。歌の内容に応じて、一つの和音でガラッと雰囲気が変わり、シューベルトの悲哀さや人生観が伝わってきます。ドイツ語の歌詞の内容が私にはわからなかったのが残念でしたが、どういう音を語ろうとしているのか、何を思って演奏しているのかが手に取るように伝わるものでした。ピリスは現在80歳、最近は体調が優れない時もあるようですが、90分通しの演奏は本当に見事でした。

学生の時、シューベルトのハ短調のソナタを試験に弾いたことがありますが、ヴァシャヘーリ先生という外人の先生に、「死の舞踏」という言葉を何度も言われました。20代の学生にその内容を想像しろと言われても到底難しく、非常に苦労した覚えがあります。シューベルトは極貧生活を送る中、死の世界が理想郷、という面があります。普通にのうのうと生きている人間には想像すらできない環境から生まれた音楽ゆえに、人の心に響くのでしょう。シューベルトの即興曲でもまた弾いてみようかしらん....._(´ཀ`」)

                  
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2024年11月04日 23:02

凪良ゆう「私の美しい庭」

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ちょっとほんわかした読み物が読みたくなり、凪良ゆうさんの「私の美しい庭」を読みました。心がふわっと解放され優しい気持ちになれる本でした。読み始めは軽やかなタッチですが、だんだんと内容が濃くなり、人の生き様や心の機微が葛藤が描かれています。クスッとなったり、こういう事あるよね、と共感したり。人の心というのは不思議なものですね。何かに対してで怒ったり悲しんだり笑ったりする事が、時が経つにつれ変化して全く違う感情に化けたりします。物の見え方がだんだん変化するのは、心が自由で変幻自在なものである証拠ですが、自分で自分の心の変化が面白いなぁと感じることがあります。逆にひょんなことで心が束縛されることもありますね。そんな諸々を考えさせられた本でした。

タイトルにある「美しい庭」。実際に育てる土の庭、ベランダガーデン、或いは人の心にある幻影を意味しているのかもしれませんが、緑や花を見ると癒されますね♪(´ε` ) 去年までベランダガーデンでゴーヤやバジルを育てていましたが、住まいが変わってからベランダがまだ手付かずです。シェフレラという観葉植物を育てていますが、観葉植物なので成長は遅いだろうと思いきや、夏にどんどん葉が増え、早くも鉢が狭くなりそうな......(>人<;) 気に入った柄の鉢なのでもう少し頑張って欲しいところです(笑)北海道のガーデン巡り、来年は行きたいものです( ˊ̱˂˃ˋ̱ )



      

                          


            
                 
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2024年10月30日 22:08

小説「1Q84]

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自宅の本棚を整理していて、さてこの本はどうしよう、本棚に全部入りきらないし、電子本も出ているし....._:(´ཀ`):と悩ましい選択を迫られる中、以前買った話題の本を見つけました。村上春樹さんの「1Q84」です。この本は発売当初、話題になったのを記憶しています。冒頭にヤナーチェク作曲の「シンフォニエッタ」という音楽がある場面で出てきますが、音楽関係の友人と「ヤナーチェクのシンフォニエッタって知ってる?」という会話が飛び交いました。村上春樹さんは音楽に相当お詳しいのでしょう。小説の節々に音楽の専門的要素が出てきます。この本をふと手にし、買ったのに読んでいなかったなぁと気になって読み始めたら、独特の世界に引き摺り込まれてしまいました。紙の本で1巻の前篇しか持っていなかった為、文庫本6冊分の合本版の電子本を購入してiPadで読み進めたらなんと長いこと!ようやく読破しました╰(*´︶`*)╯ 電子本は以前は少し抵抗があったのですが、両手が空いて腕組みしながらでも読める上、どこに持ち運ぶにも重くない、文字の大きさも調整でき、こちらの方が楽だわぁ....(^◇^;)となりつつあります。

「1Q84」、個人的には好きなタイプの小説ではなく、人に勧められるか?と言われても難しいものがありますが、読み始めたら止まらなくなり、また構成力の巧みさに圧倒される作品でした。小説は作家の頭の中で起こる想像の物語ですが、こんな世界が世の中に実はあったりして?.......とリアル感さえ感じます。

読書後、人と人の縁、というものを考えさせられました。一口に縁といっても様々ですが、人生の中でその人の一生を左右する出会い、というものが時にあります。今は音信不通でも、その人に出会わなかったら今の自分は無かっただろう、と影響を受けた人。そういう出会いは、心の奥底にズシンと一生棲みつくものです。既に亡くなった過去の芸術家から多大な影響を受けることもしばしばです。人との出会いは、神様がどのようにして引き合わせているのかわかりませんが、会うべくして会うこともあるのでしょう。

京都のあるお寺の高名なお坊様の言葉に「座っていても世界が見える人がいる。世界中飛びまわっていても自分さえ見えない人がいる」となかなか痛烈な言葉があります。世界が見えるところまでは無理としても、人の本質や物事がよく見える人間になりたいものです。読書は、その世界にどっぷり浸って想像力を広げたり、ゆっくりものを考える時間でもありますが、そこから何を読み取るか?、物事の本質を見極める訓練をしているような面もありますね.....

最近、読書時間にお気に入りの飲み物があります。「カフェロワイヤル」( ^ω^ )。 アルコール分微量のカクテルです。コーヒーを入れたカップに、ロワイヤル用のスプーンを置き、スプーンの中にブラウンシュガーとブランデーを入れて火をつけます。ブランデーがフランベされて青い小さな炎となり、シュガーが溶け出します。ほんのり甘く、酔うようなアルコール度数でもなく、雰囲気もあって良い感じ。シュガー無しのブランデーだけでも美味しく飲めます。夜、照明を落とすと青い炎が良く見えておすすめです♪(´ε` )
                     


            
                 
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2024年10月03日 23:10

音楽・美術・文学・映画・自然の連結

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去年の秋、初めてブログを書き出してから1年近くになります。石神井公園の近くに新居ができた際、ピアノ教室のHPを立ち上げ、その紹介と共に始めたものですが、マイペースで自由に日頃の感じたもの、私の頭の中でつながって相互作用があるようなものを記事にしてきました。毎日のように音楽と密接に関わり、ピアノを教えたり、自身の練習をしていますが、音楽は、読譜力が備わり、指の練習だけを勉強しても豊かな世界が広がる訳ではなく、一見、関係のなさそうな美術や文学、自然、映像作品などと深い関連性を持っています。読譜力が備わり、指が思い通りに動くようになった先に、ようやくその豊かな世界が現れます。その領域に到達すると、楽譜の奥を読み解き、ピアノを弾きながら想像力が働くようになり、音楽とそれ以外のものがコラボレーションしていきます。そこがとても自由で楽しく、想像力や感性が広がる世界です。ピアノを習い始めたばかりの小さな生徒さんは少々時間がかかりますが、数年ピアノを続けていると、その領域に少しずつ入っていきます。教える側も、弾いている曲のこの部分はどんな気分かな?、どんな風景かな?、どんな色かな?と子供に尋ね、その反応が楽しいこともあります( ^ω^ )

少し専門的な話になりますが、ロマン派のシューマン、ショパンなど、文学からインスピレーションを受け、音がまるで物語を語るような作品も多々あります。シューマンは、E.T.A.ホフマンという作家の幻想小説に夢中になり、まるでその世界を音で体現させたような作品が多く、話がどんどん飛び、いろんな場面に切り替わる場面展開が、ホフマンの小説とも似ているようにも感じます。同い年のショパンも、ポーランドの詩人ミッケヴィッチの叙事詩からインスピレーションを受けたバラードなど、文学からの影響が見られます。恋人はジョルジュ・サンドですしね♪( ´θ`)音楽史で言う近代のドビュッシーになると、映像的なものを音で表現し始めます。ドビュッシーはエキゾティシムに憧れ、日本の浮世絵や骨董品に夢中になり、古寺にまつわる作品として版画の「塔(パゴダ)」などもあります。画家のモネとは「印象派」のグループで一緒に活動していました。また、音楽が宗教的なものと深く結びつく場合もあり、私の大好きなJ.S.バッハのマタイ受難曲や教会カンタータは、その部類です。因みに教会カンタータBWV182は、高校の時からの精神安定剤です(^。^)

芸術は、日常的に感性を刺激したものが頭の引き出しから飛び出てきて、それらが音や色、文などに反映され、結晶となって生み出されるものです。演奏の世界で言うと、ピアノを弾きながら、ある本の一場面が浮かんだり、絵が見えてきたり、映画のワンシーンが思い出されたり、旅で見た自然の風景や古寺の静けさ、感性を揺さぶられるもの全てが栄養となります。

ヘルマン・ヘッセが「ヘッセの読書術」という本で、芸術の「言葉」について書いています。「羨望の思いで詩人は、画家や音楽家のことを考える。画家は自分の言葉である色で語りかけることができるし、音楽家も、その音で全ての人間の言葉を語り、操ることができる。詩人は、音楽家を特に強く、うらやましく思う。音楽家は自分たちだけが使える言葉を持つからである。ところが詩人は、学校の授業や商売に使われて、電報を打ったり裁判したりする時に使われるのと同じ言葉を使って、自分の仕事をしなくてはならないのだ。自分だけの表現手段を持たないのはなんと貧しいことであろう!」

音楽は、音を通して人間のあらゆる気分、愛情表現、官能性まで抽象的な言葉で語ります。大学生の時、ヘッセにハマったことがあり、「知と愛(副題 ナルチスとゴルとムント」は愛読書となりました。芸術に向いている人間と精神性を極める人間とが出会い、のちにそれぞれの道を歩む話ですが、この作品の本当の意味がわかったのは、数年後でした。ベートーヴェンの作品109を弾いていた時期、ある日のある瞬間、ヘッセの文学的本質と音楽の本質が結びつく現象が起きました。確かこういう現象を共通感覚と言ったかしらん?今思い出すと懐かしいばかりですが、あの頃の感性を保ちつつこの先も芸術に触れて行きたいなぁと思います♪(´ε` )
                       
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2024年09月19日 00:10

神護寺・特別展

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国立博物館で開催されている「神護寺」展に行ってきました。普段はご開帳されない貴重なものばかりで圧倒される美術展でした。空海が唐から持ち帰った真言密教がどのように日本で広められていったのか?、その原点がわかりやすく解説され、重みのあるご本尊の仏像や曼荼羅に思わず見入ってしまいました。よくこれだけの秘仏や国宝が並べられたなぁΣ('◉⌓◉’)と驚くばかりです。一番初めに弘法大師像の板のレリーフがあり、とても趣きがあリましたが、両界曼荼羅(高尾曼荼羅)に非常に圧倒されました。弘法大師・空海が唐で学んだ密教の内容が4メートル四方の紺の布地に金泥と銀泥で描かれたもので、仏の世界が体現されています。大日如来を中心に、周りに4百数十体の仏様達が、気の遠くなるような精密さで描かれ、大変美しいと同時に何か吸い込まれるような気配があります。4メートルの高さの曼荼羅ともなると大きすぎて、下から仰ぎ見ても詳細が見えません。それを補うために開設されていた8Kの拡大映像や解説が非常にわかりやすかったです。曼荼羅が途方もない労力を尽くして作られたものかを思い知りました。大日如来というと、私の頭に浮かぶのは京都の東寺の立体曼荼羅、奈良の円成寺の大日如来像(若かりし運慶の二十代の作品)ですが、この曼荼羅に描かれた大日如来は、果てしない宇宙の大きさを感じさせます。

後半には、神護寺のご本尊の国宝・薬師如来立像もありましたが、こちらはそのお顔の厳しさに驚きました。奈良の古寺が大好きで今まで多くの仏像を見て来ましたが、薬師如来像というと薬師寺や新薬師寺の穏やかな表情の仏像が頭に浮かびます。神護寺の薬師如来像は、それとは全く違って険しい表情をしておられますが、一度見たら忘れない仏像でした。他にも国宝の虚空蔵菩薩像が五体、面白いポーズを取っている十二神将の展示など、堪能しました。

真言密教など宗教の詳しい知識はありませんが、日本人の原点の心象風景を見た気がします。毎年のように行っている奈良や京都の仏像にまた会いに行きたくなりました(*´◒`*)


                          


            
                 
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2024年08月30日 11:27

戸隠神社

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長野県の戸隠神社に参拝してきました。戸隠神社は5社ありますが、その一番奥にある奥社の参道を進むと隋神門、奥へと続く杉並木がとてもスピリチュアルです(^。^) 高くそびえ立つ杉たちは涼やかで緑を満喫でき、手を触れるとエネルギーをもらえる気がします。太い太い杉に耳をつけると、微かに水の音が聞こえるような......(・・?)  隋神門に行く途中にある苔むした小さな祠は、ジブリの「千と千尋の神隠し」の冒頭に登場する祠を思い出しました。隋神門の屋根には無数の草が伸びており、歴史や神話を感じます。奥社まで続く2キロの杉並木の参道は意外に長いですが、木々に囲まれているため日差しが柔らかく、夏の暑さもあまり気になりません。圧倒されるような緑に囲まれた中にあり、神社の周辺には池や散策路なども多く、信州名物の蕎麦屋さんも沢山あって、1日では到底廻り切れませんでした。またいつか来ようかな?


 苔むした祠 IMG_5902_コピー   
隋神門 IMG_5904_コピー

もう一つ、小布施にある「岩松院」を訪ねました。晩年の葛飾北斎が4回も東京から訪れた場所で、交流のあった高井鴻山に呼ばれ、その援助で描いた大きな天井画があります。板に描かれた20畳の大きさの鳳凰の絵は迫力でしたが、北斎がこれを描いたのが88~89歳とのこと、仰天です(^◇^;) 東京から片道240キロもある小布施まで、83歳以降に歩いて4回も来たとのこと、北斎の体力もさることながら、なんとも凄まじい生命力ですね。北斎先生、さすが.....!! この岩松院は戦国時代の武将、福島正則の菩提寺でもあると初めて知りました。49万石だった広島から、徳川幕府に睨まれて4万5千石の信越地方に国替えさせられた福島正則の霊廟がありました。また、小林一茶の「やせ蛙 負けるな一茶 是にあり」と詠んだ俳句の蛙池があり、この俳句の本当の意味をお寺の方に教えて頂き、なかなか面白かったです。


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2024年08月17日 11:02

おがさわらピアノ教室

【電話番号】 080-8132-4676

【住所】 〒177-0044
東京都練馬区上石神井3丁目

【営業時間】 <レッスン時間>13:00-20:30
<受付時間>11:00-21:00

【定休日】 不定休

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