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ル・カインの額絵&さくらももこ「憧れのまほうつかい」

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楽しみに待っていた絵が美術館から届きました。先月行ったエロール・ル・カイン展で購入した「いばらひめ」の額絵です。2ヶ月ほどかかる予定だったのが随分早く届き、嬉しくてすぐレッスン室に飾ってみました。ル・カインの絵本は既にコレクションしていますが、原画は絵本より深みがあり、丹精込めて描いた心の息吹が感じられます。数十年前、この絵本に出会った時の感動は現在も変わらず続いており、何度見ても癒されます♪( ´θ`)特にお気に入りなのは「いばらひめ」「おどル12人のおひめさま」「キューピッドとプシケー」。「シンデレラ」の挿絵もとても素敵で、馬車でお城に向かう場面など、河に映って馬車が逆さまになっているアイデアが素晴らしい!!

ル・カインの挿絵はどれも美しいですが、この「いばらひめ」の1枚はとりわけイメージに満ちて雰囲気抜群!!ル・カインは東洋風、中国風、日本風、アメリカ風、中東アラビア風など、本の中身に応じて全く違うイメージの絵を描く挿絵画家ですが、この絵はヨーロッパのクラシカルな感じです。「眠りの森の美女」と内容は同じで、王女の誕生を祝うパーティーに招かれた仙女たち一行が、夜の森を抜けてお城に向かう一場面です。この12人の仙女たち、とっても素敵な衣装に身を包み、ユニコーンの背に乗ったり、鳥に乗っていたり、自身の翼で飛んでいたり、籠に乗っている二人を3人が運んでいたり、孔雀に乗っていたり..... よくもまぁこんな想像力豊かな空間が浮かんでくるなぁと魅入ってしまいます。パーティーに招かれなかった仙女が恨めしげに木陰から覗いていたり..... 御伽話の絵本と言えども侮るべからず!見る人がその世界に入り込んで想像力を膨らませることのできる芸術性の高い作品で、こんなに夢中になったり童心に帰れるものは幾つになっても大事にしたいものです。

エロール・ル・カイン展では、私と同じくこの画家に夢中になった「さくらももこ」さんが執筆した「憧れのまほうつかい」も展示してありました。「ちびまる子ちゃん」で有名な漫画家さんですね。この本は、若かりし頃のさくらももこさんがエロール・ル・カインの本に出会って夢中になり本を買い集め、原画の蒐集家と出会い、ル・カインの絵をもっと普及させるべく、その軌跡を追って渡英したりと、とてつもないル・カインへの情熱愛を極めた体験談の本で大変面白かったです。こんなにル・カインの絵に惚れ込む人がいたんだわぁ( ´∀`)と嬉しくなりました。ももこさん独特の小気味よい文体で面白おかしく語るイギリスでの体験談は、ひと息に読めてしまいます。爆笑シーンもあり.....)^o^(  ただ、命を削って絵の仕事に打ち込むル・カインの妻が芸術に何の理解もない女性だったと知って悲しくもなり..... 芸術家の妻たる者、その芸術の価値を一番理解して応援する存在となるべし!o(`ω´ )o エロール・ル・カインの絵本が日本で知られるようになったのは、実はさくらももこさんのお陰もあったと知り、ももこさんにも個人的親近感を覚えてしまいました。日本未発売のル・カインの「グランマ」、英語版でもいいので近々出版してほしい.... ♪(´ε` ) 
            
                 
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2025年06月25日 11:45

「藤田嗣治」展

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新宿のSONPO美術館で開催されている「藤田嗣治」展に行きました。数ある展示の中で人物画が圧倒的に多く、自画像をこんなに描く画家がいるのだと驚きましたが、そのデッサンの上手さにビックリ!人の身体の柔らかさを線ひとつでこんなに描けるものかと思ってしまいます。個人的には人物画よりも風景画の方に惹かれるせいか、一番気に入った絵は「ヴォジラール、パリ」という作品でした。建物の巧みさに驚嘆するばかりでなく、1階の出入り口からひょいと人が出てくる気配、年数の経った建物で人が生活している様子が想像でき、その地域の雰囲気が漂ってきます。人物画が圧倒的に多い画家ですが、風景画をもっと見てみたいなぁ.....♪( ´θ`)ノ人物画は乳白色のような色がベースとなり、この何とも言えないほのかな乳色が印象的でした。モディリアー二とも親交があったようで、「あれ?これはモディリアーニの人物画に似ている?」と思わせる作品もありました。 

SONPO美術館には、特別に場所が設置されて鎮座ているゴッホの「ひまわり」があります。この日もお目にかかることができました。ただ......ゴッホのひまわりは、個人的にはちょっと....(^.^) 今まで何度も見ていて、見る度にすごいなぁと存在感と迫力に圧倒され、決して嫌いではないのですけれども.....「ひまわり」の圧が強すぎて、美術館で椅子に座って観るのなら安心して見れますが、例えレプリカだったとしても家に飾ったら気持ちが落ち着けない気がします。まるで見られているような......ゴッホの絵は以前、運動靴を描いた作品で、その靴が絵から飛び出て歩き出してくるようなゾッとするリアル感を感じたこともありましたが、異常にこちらに出てきます。パリの夜のカフェを描いた絵などは好きですが、「ひまわり」はその存在感が強烈なんですもの......('◉⌓◉’) 凄いなぁと尊敬するけれど、隣にいるのは無理....って感じかしらん。でもSONPO美術館の次の展示が秋のユトリロ展なので、また近々会うことになるでしょう。


            
                 
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2025年06月17日 23:12

プレトニョフ ピアノリサイタルを聴いて

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サントリーホールで開催されたミハイル・プレトニョフのピアノリサイタルを聴いてきました。毎回行く度に音楽の意味や深さを思い知らされ、これほど心に染み透る演奏が存在することに感動します。今回のプログラムは、前半がベートーヴェンのソナタ「悲愴」と「月光」の2曲、後半がグリーグの抒情小品集からの16曲でしたが、ベートーヴェンでは衝撃を受け、グリーグでは時間が止まっているような美しい光景が目の前に浮かびました。プレトニョフの弾くベートーヴェンは、テンポの運びなども自由でみずみずしく、全てが言葉に聞こえてきます。どこをどう感じ「これはこういう話をしているのです」というのが手に取るように伝わる演奏でした。いわゆる正統派のかっちりしたベートーヴェンを聴き慣れているとギョッとしますΣ('◉⌓◉’) しかし自由でありながらもベートーヴェンの持つ圧倒的な説得力や深い沈静があり、プレトニョフの真の言葉でした。「悲愴」の冒頭・導入部が特に印象的で、疑問提起と納得感、心の揺れ幅の大きさに心を打たれました。「月光」の1楽章の達観した静寂、2楽章の木漏れ日のような穏やかな時間、3楽章の怒涛は意外に静けさも存在し、ベートーヴェンとプレトニョフの人生観が重なるようにも聞こえました。あんなベートーヴェンもいいなぁ......♪(´ε` )
                                                
グリーグの抒情小曲は、日記のように37年間に渡って書き続けられた珠玉の作品集です。ショパンのマズルカの在り方と似ているかも.....? グリーグが、ある日のふとした感情、ある日の光景、ふとした瞬間などを切り取って形にしたものを、プレトニョフが追体験して見えた光景を映像化しているかのように感じました。それはそれは美しかった........ ♪( ´θ`)観客がプレトニョフの世界にワープして同じ光景を見ているようで........ 行ったこともないノルウェーの大自然が浮かびます。客席の真っ暗に近い照明の中でプログラムの曲名と照らし合わせるのが大変でしたが(笑)、「小鳥」「郷愁」「過ぎ去った日々」「夏の夕べ」が特に印象に残りました。「過ぎ去った日々」は、痛みを伴う過去の思い出、心の底にじんわり存在する後悔、そんなものが垣間見られ、シュトルムの小説「みずうみ」がふと浮かんだり...... 誰しも心の中に「あの時違う行動をしていたらどうなっていただろう....」という想いを持っているものですが、プレトニョフも、ロシアを深く愛しながらも脱出せざるを得なかった芸術家であり、重なるものがあるのかもしれません。

聴く人の音楽に対する姿勢をガラリと変えてしまうような影響力を持つプレトニョフ。こんな人が世界に他にいるかしらん? 帰り道に偶然、東フィルの友人に会い、プレトニョフがオケのリハでどんな指示をするのか尋ねたら、「ほとんど何も言わないの。でも自然に良い音楽になっていくのよねぇ」とのことでした。なるほど......同じプログラムを二度でも三度でも聴きたくなる演奏をする芸術家とはそういうものかもしれません。

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2025年06月05日 23:15

イメージの魔術師エロール・ル・カインの世界

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子供の頃、趣味で絵を描く母が「ステキな本があったよ!」と見つけてきた本に魅入られたことがありました。エロール・ル・カインという挿絵画家の描いた絵本です。大人になってから偶然その絵本に再会し、日本語で出版されている本を少しずつ集めて20冊余りになります。イメージの魔術師と言われる「エロール・ル・カイン」は1989年に若くして亡くなった挿絵画家ですが、イギリスを代表する絵本作家として現在でも高い評価を受けています。絵本の挿絵と言っても非常に芸術性の高いもので、描かれた人物、模様、風景を見ているとその世界に惹き込まれ、想像が広がります。先日、八王子夢美術館で「エロール・ル・カイン展」が開催されているのを知り、出かけてきました。挿絵の原画、スケッチなどが展示されていましたが、絵本とは違う奥行きや深みがあり、ステキなひとときを過ごしました。量販される本の紙質はテカるものが多い為、絵の具の陰影まではなかなか全て出しきれない部分もあるようです。日本では出版されていない本の挿絵も多数あり.......あの本買えないかしらん?☆*:.(≧▽≦)..:*☆

エロール・ル・カインの絵は、物語の内容によって全く違うタッチに変幻自在で、一人の画家がこんなにも変身するのかと驚かされるばかりです。ギリシャ神話の「キューピッドとプシュケー」などは挿絵が全てモノクロ。でもギリシャ神話のように内容の深い物語には、白黒だけの世界が非常に似合います。お姫様ストーリーの「シンデレラ」は、シンデレラのドレスの模様が芸術的すぎて格調高い作品になり、一般的に連想されるストーリーとはかけ離れてしまう程です。他にも「ハーメルンの笛吹き」などはブリューゲルのような感じになり、インドを舞台にした物語ではアラブ系の絵に、東洋のお話はエキゾチックに変身します。私の一番のお気に入りは「いばらひめ」で、この絵を見るとラヴェルの音楽が浮かびます。内容は「眠りの森の美女」なので、チャイコフスキーのバレエ音楽が浮かんできそうなものですが、なぜかラヴェルの世界観に思えてなりません。

音楽と絵と物語は密接な関係があり、音楽を聴いて絵が浮かぶこともあれば、絵を見て音楽が浮かぶこともあり、音楽は常に何かしら物語を語っています。何年か前、レッスンしていた子供の生徒さんが雪の情景の曲を弾いている時、ルカインの「雪の女王」の挿絵を見せたらイメージが繋がって表情がとても豊かになったことがありました。正に百聞は一件にしかず、ですね。雪がもうもうと降る中をソリで果敢に進むような場面の曲、子供が雪景色を見上げている様子を描いた曲。作曲家の頭の中の光景やお話を、音として紡いでいくのは楽しいものです。

著作権の問題があるので本の中身はお見せできませんが、表紙だけなら良かろうと思うので、いくつかご紹介したいと思います。エロール・ル・カインの挿絵をたくさん載せた集大成のような本も出ています。このイメージ豊かな絵本を生徒さん達にも見て欲しいと思い、自宅のレッスン室の一角に並べることにしました(^ ^)

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2025年05月26日 23:22

大阪万博の民族音楽

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以前から楽しみにしていた大阪万博に行ってきました。3日間の滞在でしたが、世界各国の文化、芸術、最先端技術、郷土料理などに触れられる楽しい体験となりました。日本の企業が力を尽くしてのパビリオンはさすがに内容が濃く、普段はあまり興味を持たない分野にも視野が広がりました。2ヶ月前までの抽選予約や追加予約などで、日本館、住友館、三菱未来館、大阪ヘルスケア館を体験できましたが、どこのパビリオンも驚きや感動があって刺激だらけです。大阪ヘルスケアパビリオンでは25年後の自分が映し出され、実家の母に似ていて大笑い、そして昨今の技術の凄さにビックリ('◉⌓◉’) 個室ブースで5分程立ってデータを取るだけなのに、これほどの事がわかるのかと仰天です。日本館では微生物がゴミをエネルギーに変える様を目の当たりにし、三菱未来館では宇宙の神秘を考えさせられ、住友館では自然を模した空間の幻想美に癒されました。

そして個人的に一番目的だった海外パビリオンの民族音楽や民族舞踊などの催しは、音楽を専門にしている者としては非常に楽しく勉強になりました。ハンガリー館では美しいハンガリーの民族衣装を着た女性の歌と踊りが見られ、おぉ〜ハンガリー舞曲だぁ....と納得♪(´ε` ) トルコ館主催の催しはトルコ行進曲の元になった軍隊行進曲を思わせる演奏で、民族衣装を纏った大きな男性達が大音量で奏でる音楽が強烈でした。サウジアラビア館ではクラシック楽器でアラブの民族音楽が奏でられ.....  万博会場の屋外あちこちにちょっとした舞台があり、ワンピースのような衣装を着たサウジアラビアの男性達が民族音楽に乗って踊っていたり、マレーシア館前ではマレーシア人の民族舞踊に一般人も混じって踊るなど、普段見られない芸術文化に触れられました。会場が広すぎて3日間とも11〜13キロ歩いて足が棒になりつつ、まだまだ他に見たいものが山積みでした。ミニミニ世界旅行のような体験ができる機会は他にないので、また行ってしまうかも?
                          

トルコの民族音楽IMG_5788_コピー      IMG_6524_コピー_コピーサウジアラビア館

マレーシアの民族舞踊IMG_6921_コピー       IMG_6927_コピー_コピーサウジアラビアの民族舞踊

            
                 
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2025年05月02日 23:12

発表会コンサートを終えて

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今年も無事に生徒さん達の発表会コンサートが終わりました。小さい年少さんの生徒さんから小学生、中学生、大学生、社会人が演奏してくれました。大人の出演者は、普段は違うお仕事をされながらピアノを楽しんでいる方、またピアノの先生をされている方など、幅広い年齢層のコンサートになりました。今年は発表会デビューのお子さんも多かった為、指導する側としてはハラハラドキドキ、無事に弾き切ってくれることを祈りつつ見守るばかりですo(≧▽≦)o リハーサルで危ない箇所があっても、リハーサルで微調整して良いイメージを持てると本番は上手く行くことが多いので、リハーサルは大事ですね......  これは子供でも大人でもプロでも同じです。また、音楽を勉強する上で本番以上に勝るものはありません。ピアノは一人でコツコツ練習して楽しむことができますが、やはり目標を持って数ヶ月練習した曲を人前で弾くのが一番勉強にもなり、またステップアップにも繋がります。目標に向かって気持ちを高めていくモチベーション的にも、準備段階できちんと積み上げていく練習の仕方も、やはり本番あってこその持って行き方があります。
 

小さいお子さんがひらがなやカタカナを覚えるのと同じく、ピアノも初めは簡単な音符からスタートし、目で楽譜を追い、耳で音を聴き、10本の指をそれぞれ独立させて動かし、足のペダルも使うようになります。更に感性やイマジネーションとも繋がって全てが連動するようになると、風景が見えてきたり、様々な感情を感じて表現したりと世界が広がります。目、耳、手指、足、頭、心を相互に使う音楽の奥深さは底知れないものがありますが、楽譜の奥に何が書かれているのか、その深さが見えてくるほど面白くなってきます。

ピアノを習い始めた小さな生徒さん達が、この先どういう風に成長して行くのか、その過程を見るのが楽しみです。

           
                          


            
                 
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2025年04月21日 23:05

カルク・エラート「シンフォニック カンツォーネ」

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フルートとピアノのデュオコンサートに、カルク・エラート作曲の「シンフォニック・カンツォーネ」を入れてみようか?と練習を始めました。フルートはロマン派の作品が非常に少なく、他の楽器に比べるとプログラミングに苦労します(´ε` )  カルク・エラートはドイツ生まれ、私は初めて接する作曲家です。練習しながら楽譜を丹念に見ていくと、んん?なんじゃこれ?という妙な楽語やら記譜をたくさん発見しました。ちょっと変わった作曲家のようです⊂((・x・))⊃ 曲を練習する時、楽譜の奥に何があるのか?、どんな話なのか?と想像力をふくらませて音を作りますが、この作品を練習していると妙に可笑しくてニヤけてしまいます。楽譜のあちこちに、普通はあまり見かけない細かい指示があり、「ここは絶対こういう風に弾いて欲しいのね、僕としては....」「ここはこんなふうにイメージしてね」という声が聞こえてきそうなくらい、細かすぎる楽語の指示や変わった記譜があります。要するに、他の作曲家なら演奏する側に任せるであろう余白部分を、任せきれなくて書き込んじゃった、という感じでしょうか(笑)2つの和音をなめらかに繋ぐ(スラー)の最後、左手だけスタッカティッシモが付いていたり..... 妙にこだわりがある作曲家のようです( ^∀^)  
                            
           面白い記譜 IMG_6389_コピー_コピー

ただ、この作品はとても自由で、演奏側がどこでどうテンポを動かすかなど、色々な料理の仕方もあります。名曲と言えるところまでは行かずとも、プログラムに1曲こんな作品を入れても良いかな? フルートとの初合わせの際も、二人で大笑い o(≧▽≦)o  縦横無尽にルバート(テンポを揺さぶる)できる曲想のため、この作曲家の語り口に振り回されてしまいます。慣れるまで少し時間がかかりそう.....でもとても楽しい合わせになりました。

                          


            
                 
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2025年04月04日 11:05

フルトヴェングラー「音と言葉」

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高校生の頃、オーケストラ曲が好きで毎日のように何かしら聴いていました。中でもフルトヴェングラー指揮のベートーヴェン、ブルーノ・ワルター指揮のモーツァルトの交響曲など、古い録音だけれど心がザワザワしました。フルトヴェングラーという指揮者はあまりに偉大で有名ですが、ベートーヴェンの「運命」など、のっしのっしと足を踏み鳴らしてこちらに出てくるかのよう、と何かで表されていたのを覚えていますが、本当に生きた巨人のように感じます。この偉大な指揮者の著書に「音と言葉」があります。恐ろしく中身のある本ですが、なかなか頭に入っていかない部分もある難解な内容で、ベートーヴェンやバッハ、その他について幾つもの篇に分かれている音楽評論です。でも一節だけピンポイントで拾って読めるのが良く、難しいけれど何度も行きつ戻りつ読んでいると、だんだん味がわかってくるスルメのような本です⊂((・x・))⊃。この本の「バッハ」について書かれた項目をふと読みたくなり、本棚の単行本を手に取って読み始めたところ、「あれ?んんん?」と違和感が....... 昔読んで感動したはずの言葉がどこにも見当たりません。はて、おかしいなと思い、もう一冊の古い文庫本の同じ本を探したら、翻訳した方が全く違っていてビックリ('◉⌓◉’)

かつて繰り返し読んで感動した文庫本のバッハの一節に、『バッハの音楽は、「近さの体験」とともに「はるけさを聴く」感覚を織りまぜた音楽』とあります。この「はるけさ」という言葉は、新潮文庫の文庫本で芳賀檀さんという翻訳者が訳された言葉で、バッハの世界を言い得て妙、と感じてお気に入りでした。はるか彼方を見つめた視線を感じる、ということなのでしょう。一方、白水社出版の「音と言葉」という単行本も持っており、こちらは文庫本がボロボロになってきた為、単行本も一冊ストックしておこうと買った本で、芦津丈夫さんの翻訳です。同じ文が、芦津さんの訳だと『「遠聴」と「近覚」とを同時に果たす音楽』となります。どちらがピッタリするかは人によって違うと思いますが、フルトヴェングラーの言葉は特に難航されたのだろうと想像されます。

バッハの音楽はどこまでも永遠に続くような普遍性があるとよく言われますが、クラヴィーア作品を実際に弾いていても、天に向かって淡々と語りかけるような感覚を覚えます。それはドビュッシーのような浮遊感とは違い、地に足のついた人間の感情が根底に存在し、ドラマティックです。しかしそれはベートーヴェンやモーツァルトのような人間臭さとは違い、まるで歴史家が史実を語っているような感覚に陥ることが良くあります。史実を語るような作品としてもマタイ受難曲やヨハネ受難曲などがあり、マタイ受難曲の有名なアルトのアリアなどは何度聴いても心を揺さぶられますが、クラヴィーア作品などでも、地平線の彼方に視線が向いているような感じを受けます。そこがバッハの一番好きなところなのですが...... これがベートーヴェンだと「ここに向かって進んで行くぞ!」という強い意志や方向性があり、モーツァルトだと「こっちに行くかと思ったらあっちに行ったり」と多重人格のように気分屋さんだったり.....♪(´ε` )でもタイムマシンに乗って過去の人物に一人だけ会いに行けるとしたら、私は間違いなくJ.S.バッハさんだなぁ......☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
                          


            
                 
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2025年03月10日 12:02

東野圭吾「架空犯」

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小さい頃から読書好きでよく図書館に通っていましたが、中でもミステリー小説のジャンルはシャーロック・ホームズ、アルセーヌ・ルパン、エドガー・アラン・ポー、松本清張、横溝正史、藤原伊織、宮部みゆき、乃南アサなど繰り返し読んできました。最近はなかなか図書館に通えていませんが、代わりに本屋さんに行って本を物色したり、電子本も便利だなぁと傾倒しつつあります。実は電子本は出始めた当初、「本は紙で読むべし!という信念と昔からの習慣に基づき、断固として電子本は買わない派でした。しかし電子本は紙の本に比べて持ち運びの必要なし、ダブル読み(2冊を同時並行して読む)でも重さゼロ、旅先に何冊でも持っていけて、スマホやiPadのクラウドに何十冊どころか数百冊でも入れておけます。スマホとiPadで共有し、途中までスマホで読んで、その先をiPadで読む、なんてこともできちゃう。おまけに字の大きさを自由に変えられるのが何とも楽で、寝る寸前の暗がりでもスマホの明かりで読めてしまう、なーんてことを覚えると、最近は電子本びいきになりつつあります。

そう言えばコンサートの舞台でも、電子楽譜が台頭してきています。時代は変わるものですね。iPadに大量の楽譜を入れ、それをピロっとめくって演奏するスタイルです。フルート界のスーパースターのパユなんて、iPadの楽譜をめくるスイッチを足でチョンと押すスタイルをかなり前から実行しています。最近の若い方は、ピアノ伴奏などでiPadを使う方も増えてきました。ただ、ピアニストの場合、左右の足で2つないし3つのペダルを使うわけで、これにiPadのスイッチとなるとねぇ.....足でスイッチを押して楽譜をめくる時代が来ようとは思いませんでしたが、以前「徹子の部屋」で作曲家の岩城太郎さん(高校の先輩)がそんな事ができるようにしたいんだ、と言っていたのを思い出しました。ただ、ピアノ譜は単旋律ではないので音符が多く、めくるタイミングがすぐ来るし、めくり損なったら.....と考えただけで恐ろしい悪夢を見そうです(笑)だってiPadは、フリーズという状態も起こりうるわけで......iPadで演奏している音楽家は皆さん勇気があるなぁ.....

ただ、こんな電子化の時代に至っても、人気作家の東野圭吾さんは、電子本に反対?、或いはお嫌い?なのか、或いは出版社の策略か?、どうしても書き下ろし作を電子本にしてくれません( ´Д`) 今、どこの本屋さんでも一番目立つ場所に輝かしく飾ってあるミステリー小説の「架空犯」。店頭でこの本を見るたび、欲しいなぁ、読みたいなぁ、でも分厚くて重そうよねぇ...と迷いつつ、やっぱり文庫本になるまで待とう!と後ろ髪を引かれながら帰っていたのですが..... いつ文庫本になるかもわからない訳で......何度か本屋でこの本を横目で睨むうち、とうとう欲求に負けて買ってしまいましたo(≧▽≦)o 家の本棚はパンク状態ですが..... でもこの小説、面白くて読み始めたら止まりません。先を読み進める時間を確保するべく、夕食のおかずを手抜きにし、夜更かしを続け.....  読破しました♪( ´▽`)  さて、もう一度じっくり時間をかけて読み直すか、それとも違う作品に突入するか......と考える時間も楽しいものです。
                          


            
                 
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2025年02月26日 22:45

アレンジいろいろ

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フルートとピアノのデュオコンサートで演奏する曲を色々と模索中ですが、今回はメンデルスゾーンのピアノ曲のアレンジ版を1曲入れてみようかという話になりました。フルートという楽器は、他の楽器に比べて曲が本当に少なく、特にロマン派の作品が圧倒的に無いので困っています_(´ཀ`」おそらくロマン派の時代にフルートの名手が現れず、フルートの為の曲が全然作曲されなかった、というのが理由のようです。そこで現代のフルーティストのスーパースター達が、ヴァイオリンソナタやクラリネットソナタなど、フルートとピアノで演奏できそうな曲をあの手この手で演奏会プログラムやCDに用いています。そんな中、メンデルスゾーンのピアノ曲「ロンド カプリッチョーソ」という曲のフルート&ピアノ版のアレンジ楽譜が出版されているのを知り、練習してみようかという事になりました。フルートの相棒と私がまず自分のパートを練習して、いざ合わせに臨むわけですが、初合わせまで約10日という頃、彼女からLINEが来ました。彼女が持っているアレンジ版の楽譜が2冊あり、ふと比べて見たら楽譜の中身がまるで違ってびっくり(˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾  どの版で練習してますか?とのこと。それを聞いた私もビックリ!!私が練習してるのはこの版だけど.....と伝えると、何と彼女が練習していたのは違う版......(笑)

ヴァイオリンソナタやクラリネットソナタをフルートとピアノ版で演奏する場合、元の楽譜と音はさほど変わらないのですが、原曲がピアノ曲となると、そりゃ編曲によって全く異なるのは当たり前で、二人で大笑い......彼女が私の方に頑張って合わせてくれました。このあたりが、作曲や編曲を手がけたことのない演奏家のちょっと抜けているところなのでして.....( ˊ̱˂˃ˋ̱ )ただ、2冊の編曲を比べてみて、な〜るほど('◉⌓◉’)と面白かったのは、片方は原曲を忠実にフルートとピアノで分け合って無難にこなしているもの。もう片方は、新しいパッセージや和音が入り、編曲者の個性や粋な計らいが感じられるもの。う〜ん、こんなに違うのかぁ.....⊂((・x・))⊃  さてどちらを選んだか?結果は後者となりました。各自の練習もやり直しです(笑)

フルーティストのスーパースターであるパユやブリアコフは、曲が少ないのをカバーするべく、ご自身でアレンジしたり、作曲家に頼んだりしてどんどん新曲を開拓しています。いいなぁ!私たちもそれを模倣してやりたいのですが、そういうスーパースターは、アレンジ楽譜を自分の為だけに作るので、楽譜に仕立ててくれません( *`ω´) 出版してくれたら沢山買ってあげるのに....... 自分で編曲なんて曲芸はできないし.....知り合いの作曲家は何人かいますが、アレンジ?えぇ〜それだったら自分の作品を演奏して欲しいなぁ....なーんて言われそうだし......なかなか難しいところです。他にも何かピアノ曲をアレンジできないかしらん?悩みは尽きません.....



                          


            
                 
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2025年02月20日 23:33

おがさわらピアノ教室

【電話番号】 080-8132-4676

【住所】 〒177-0044
東京都練馬区上石神井3丁目

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