おがさわらピアノ教室|東京都練馬区

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パユとバックスのデュオの演奏会について

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9月28日に行った、フルートのエマニュエル・パユとピアニストのアレッシオ・バックスのデュオの演奏会の感想を、忙しさに紛れて書き忘れたのを思い出し、遅ればせながら書くことにします。パユは、スーパースター的なフルート奏者で世界中で活躍していますが、何度聴きに行っても、感動に溢れて興奮してしまいます。今回のピアニストは、私の大好きなエリック・ル・サージュではなく、バックスというピアニストでした。ル・サージュは室内楽のスペシャリストで、その音色の柔らかさが他の楽器と溶け合うようなピアノを弾くのですが、バックスは、また違った個性で素晴らしいものがありました。

この日のプログラムは、フランクのヴァイオリンソナタ(フルート用に編曲したもの)が前半のメインでしたが、原曲のヴァイオリンソナタが名曲なので、フルート&ピアノ版だと正直どうなのかなぁ?と思っていました。でもそんな心配をよそに、パユとバックスの濃密なやり取りや、真に心の底から湧き出る情熱と色っぽさにすっかり魅了され、拍手しすぎて手が痛くなってしまう程でした。音楽として非常に説得力があり、桁違いの技術ももちろんあるのですが、それが全面に出るのではなく、言葉として伝わってきます。

あまりに高い技術を持っていると、それが全面に出過ぎて意外に面白くない演奏も多いのですが、一体、あのパユの音楽に対する情熱の持続力はどこから来るのでしょうか? 年を経ても音楽の瑞々しさを失いません。フルートという楽器は、フルートのために書かれた作品が非常に少なく、プログラミングが大変なのですが、パユはいつも趣向を凝らして毎回観客を歓喜させてくれます。私もフランクのソナタを弾いてみたくなってしまいました。次回のフルートとのデュオコンサートでプログラミングしてみようかしらん?

            
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2023年11月01日 11:03

ピアノのレッスン室が完成しました

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おがさわらピアノ教室のオープンが近づいてきました。10月頭から2週間かけての防音工事が終わり、ようやくピアノのレッスン室が完成しました。ピアノというのは大きい上、一人では
動かせない300キロの楽器なので、大変です。つくづく、他の楽器の人は運搬に関する心配はないのでいいなぁと思ってしまいます。ピアノの運送は、専門業者に依頼して、今回は男性の方4人がかりの作業となりました。

とはいえ、搬入当日は、朝から心配ごとで頭がいっぱいでした_:(´ཀ`」):当日は秋晴れの青空、天気の心配はしなくて良いかな?と思いきや、各テレビ局が、「本日は晴天ですが、急な雷雨や大雨が来るかもしれません。十分お気をつけ下さい」などと報道しており、眉間に皺が寄ってしまいました。ピアノは湿気が大敵で、部屋の湿度も50%〜60%に保たないといけません。搬入時は7センチくらいの厚みの布団に包まれるピアノですが、搬入途中で雷雨に見舞われたらどうしよう( ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾、布団が雨に濡れたら中のピアノまで湿気が.....などと気が気ではありませんでした。幸い、青空の元、ピアノが無事にマンションまで到着し、廊下から部屋への曲がり角もクリアし、無事に部屋に入りました。下見も運搬も慎重かつ丁寧にして下さった業者の方に感謝感謝ですm(_ _)m
           
普段、3本脚でまともに立っているピアノしか目にしたことがないもので、脚を外し、立っているピアノを見ているだけで、まさか倒れやしないかと余計な心配でドキドキし、自分の演奏の本番よりもヘトヘトになってしまいました(笑)ともあれ、あとは調律をして頂いたり、室内の響きを調整したりで、やれやれというところです。防音室の壁に絵画を掛けられるようにフック等を取り付けて頂いたので、さて、どの絵を掛けようかしらん?と思案しています。

  右は搬入途中写真です。        IMG_5318_コピー       IMG_5317_コピー


            
                 
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2023年10月29日 17:50

映画「春を背負って」

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日本映画「春を背負って」を観ました。この映画は、笹本稜平さんの「春を背負って」という山岳小説が原作の小説を読み、映画に辿り着きました。山小屋が舞台の小説で、山ならではの危険や苦労、山の美しさなどが描かれています。監督は、木村大作さんという山を撮る第一人者の映画監督です。以前に見て感動した「剱岳 点の記」という映画でも、剱岳の自然の雄大さと凄みのある映像、山と向き合う人間の姿が描かれています。

「春を背負って」は、山小屋を引き継いだ息子が、山の自然と共存しながら、山小屋の運営に苦労しつつ日々生き抜く日常が描かれています。笹本稜平さんという作家は、山を題材にたくさん小説を書かれていて、山に憧れつつもなかなか行けない自身のもどかしさを満たしてくれる小説が多いです。

以前、井上靖さんの「氷壁」を読んで山の世界に憧れ、上高地に何度も足を運んだ時期がありました。雄大な自然に触れ合うと、感性が豊かになって想像力も広がり、エネルギーをもらえます。都会とは別世界の上高地で、大きなリュックを背負った山男山女たちが黙々と早いペースで奥地へ向かうのを目にすると、涸沢小屋まで行って降るような星空を一目見てみたい!!と思うのですが.....唐沢まで河童橋から8時間歩かなければ到達せず、多分実現しなさそうです(´ε` )。せめて映画などで山の光景を楽しみたいと思います。

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2023年10月18日 14:03

プレトニョフ:ラフマニノフのピアノ協奏曲 全曲演奏会第2夜を聴いて

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今夜、オペラシティコンサートホールでミハイル・プレトニョフのコンサートを聴きました。ラフマニノフの全ピアノ協奏曲シリーズの第2夜で、ピアノ協奏曲第3番と第4番、パガニーニの主題による狂詩曲です。恐ろしく大変なプログラムですが、プレトニョフの手にかかると、いとも楽に見えてしまいます。オケの皆さん(東京フィル)と指揮者は、さぞ大変だったと思いますが...... 特にパガニーニの主題の狂詩曲が美しく、変奏曲の面白さも際立ちました。

これほどラフマニノフの音楽で癒されるものか.....とまるで魔法使いのようです。速いパッセージは妖精が跳び回るように軽やか、静けさは心に染み入り、フォルティッシモで音が割れることもありません。桁はずれのテクニックに支えられているからこそ、なのですが、その自由奔放なイマジネーションの新鮮さに圧倒されました。一体、頭の中にどれ程の宇宙があるのでしょう.....w(`0`)w

ラフマニノフは、ともすると大衆的なバタ臭さ、煌びやかさが前面に出がちですが、プレトニョフの演奏には、仙人のように音楽を極めていながら、少年のような溌剌さがあります。「えっ??ここ、こう弾くの?」という驚きも多く、音楽が良く見えているからこそ、様々なアイデアが生きていました。
ピアノのソロ部分は、本当に言葉として聴こえます。抽象的な「音」だからこそ、孤独なつぶやき、憂い、喜びなどが自由に表現され、心の奥にスーッと入ってきます。

でも、プレトニョフもチャイコフスキーコンクールで優勝した若い頃は、今とは全く違い、いわゆるヴィルトォーソ的なピアニストだったのに、人間は変わるものだなぁ、とつくづく感じました。最も、凡人がどんなに努力しても同じにはならないのが悲しいですが.....( ´Д`)

世界的な巨匠のピアニストでも、技術は完璧でも意外に面白くなかったり、心に響かない演奏もあります。でも、プレトニョフのピアニストとしての数少ない演奏会は、何年通っても、毎回、音楽の喜びを感じさせてくれます。真に美しいものを追求し、表現できる芸術家です。

ロシアがウクライナへの戦争を始めてから、政治的立場によりロシアの管弦楽団の監督を追放されてスイスに移り、新しいオーケストラを立ち上げたと聞きます。そのオーケストラとの共演の録音、出してくれないかしらん?....♪(´ε` )  神様、どうかプレトニョフ様がいつまでも元気でピアノを弾いてくれますように.....

       プレトニョフ愛用のSHIGERU KAWAIピアノ
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2023年09月21日 23:51

古寺について

奈良「てくてくまっぷ」
10年以上前にふとした事がきっかけで、毎年、古寺や神社を巡るようになりました。日本は各地に古寺や神社があり、どこに旅してもお詣りできる場所に出会えるのが嬉しいところです。数で言うと、やはり京都や奈良が一番だと思いますが、10年以上かけて京都46ヶ所、奈良44ヶ所ほか、各地の古寺や神社を巡ってきました。静かな境内で仏像と対峙していると、無心になり、頭の中がリセットされるような感覚があります。中でも、仏像に沢山出会える奈良に嵌ってしまい、柳生街道や山の辺の道と言われる昔ながらの古い道を散策したりと、昔の人に思いを馳せています。近鉄奈良駅に「てくてくまっぷ」という手書き風のハイキングガイドが何種類か置いてありますが、中でも柳生街道(滝坂の道)はお気にいりで、石仏が点在する雰囲気のある道です。

奈良には凄い数の古寺や神社がありますが、私が音楽に関わる人間なので、やはり芸術の神様を祀っている静かな古寺からご紹介したいと思います。
奈良の秋篠寺というお寺に、伎芸天という仏像があります。こちらは日本で唯一の伎芸天の仏像で、諸芸上達、芸道守護を成就させる舞姫の仏像です。

右手を軽く上げ、少し首を傾けた俯き加減の端正な姿の中に、ほんのり色気を感じます。秋篠寺は、御朱印もされていない小さい静かなお寺で、伎芸天が拝める境内も、足を踏み入れると一瞥で見渡せるような広さです。中に入ると一番左に伎芸天の仏像が安置され、見つめているとスーッと静かな気持ちになります。毎年、自身の技芸上達を祈願してお守りを頂いています。
もし奈良へお越しの際は、ぜひこの静かな古寺に行かれてみて下さい。

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2023年09月18日 23:07

プレトニョフ:ラフマニノフのピアノ協奏曲 全曲演奏会第1夜を聴いて

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昨夜、オペラシティコンサートホールにミハイル・プレトニョフのコンサートを聴きに行きました。ラフマニノフのピアノ協奏曲 全4曲を2日間で演奏するコンサートの第1夜で、ピアノ協奏曲第1番と第2番です。プレトニョフは、現在生きている音楽家の中でも傑出した芸術家で、ピアニスト、指揮者、作曲家です。プログラムにも「一言では説明できない多彩な芸術家」とありましたが、実際に目の前でピアノを弾いている姿を目にしても信じられない感じです。人の心に心底響き、恐ろしいほど美しいpp(ピアニッシモ)を奏で、音楽の構造が手に取るように見えている演奏で、静謐で浄化されたようなラフマニノフでした。

ラフマニノフのピアノ協奏曲と言うと、数ある協奏曲の中でも特に華やかでドラマティック、ピアノもオーケストラも、ここぞとばかり大音量をかき鳴らす事も多いのですが、昨夜は「えぇ〜っ!!」と驚嘆するばかりの異次元の世界でした。誇張も妥協も一切なく、ただひたすら自身の表現を貫く演奏でした。

例えば、第2番のコンチェルトの第1楽章、出だしの8小節。おもむろに、何かが近づいてくるかの如く遅めに弾かれることが多いですが、プレトニョフは第1主題と同じテンポでサラッと弾いていました。「あれっ?」と思って帰宅後、楽譜を見てびっくり!! プレトニョフの演奏こそが、楽譜のテンポ設定でした。

第1楽章の後半、Allegro(アレグロ)になった部分も、普通だったらオケ対ピアノ!!、の如く大音量の合戦になるところですが、「ここのフォルティッシモはオケに任せるよ、僕の音は遠くで鳴ってるぐらいに聴こえれば良いのでよろしく.....」とでも言わんばかり。なのに、何故あんなに説得力のある演奏になるのでしょうねぇ..... 

第2楽章は、まるで「天上の音楽」でした。ゆったりした美しい分散和音に浸る感じの音楽ですが、プレトニョフのピアノには、神と対話しているような、魂を吐露するような、誰にも立ち入れない静けさがあります。2楽章の終わりに近づくアダージョからの部分では、無数の星がまたたいている夜空がふと目に浮かび、ため息も出ないほど美しい世界でした。

第3楽章は、ピアニストのテクニックの見せ所でもあり、エネルギッシュさが前面に出てきがちですが、プレトニョフの手に掛かると、いとも軽やかで洗練された格調高い音楽になってしまいます。異次元の技術に裏打ちされているからこそ、なのですが......(*´◒`*)  背付きのピアノ椅子に時折り背中をもたせかけ、脱力した弾き方なのに、必要な音はちゃんと聴こえてくる絶妙のバランスで、確固たる計算の元、オケとのやり取りがなされていました。

心の内で真に感じて生み出される音のみで構成された“いぶし銀“のような音楽を、一糸乱れず観客が見守り、生きてて良かった..... と心から思えるひとときでした。アンコールのソロも、つぶやくように静かにゆったりと弾かれ、余韻に浸りました。
               
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2023年09月14日 13:01

ある日のレッスン:ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」

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練馬区上石神井のピアノ教室は今年の11月オープンですが、江戸川区の教室では、以前からレッスンをしています。毎年行っている生徒さん達の発表会に向けて、社会人の生徒さんがラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」の曲を練習してきました。この曲は、フランスの作曲家、モーリス・ラヴェルがピアノのソロ曲として作曲した作品ですが、ラヴェル自身がオーケストレーションしたオーケストラの作品もあり、ボレロと共に大好きな曲の1つです。

「亡き王女のためのパヴァーヌ」は独特の世界観があり、耽美的な作品です。葬送の哀歌ではなく、ラヴェル自身が「昔、スペインの宮廷で小さな王女が踊ったようなパヴァーヌを喚起するものだ」と述べています。美しく優雅な曲ですが、聴くのと弾くのではまるで大違い!実際に弾いてみると、意外に弾きにくく、イメージを自分のものにするのが難しい曲です。技術的には、ある程度すれば弾けるのですが、そこから先、自分が本当に感じるイメージと結びつける作業がなかなか大変です。

2021年に開催したピアノリサイタルで、後半のプログラムをラヴェルで構成し、1曲目に「亡き王女のためのパヴァーヌ」、メインに「クープランの墓」を演奏しました。メインディッシュの前のちょっと凝った美しい前菜のように....と思って「亡き王女のためのパヴァーヌ」の練習を始めたら、独特の世界観に入り込むのが何とも難しく.....(-.-;)  遠い遠い視線の世界観、ゆったりと流れる悠久の時間、古いお城をたっぷりしたドレスで歩く王女の姿.....など、自身の生活とかけ離れ過ぎて想像力で補えず..... ( ´Д`)  なんせ、お城を歩く王女様なんて見たことがないわけで、昔の宮廷を舞台にした映画を観たり、ラヴェルのインスピレーションになったベラスケスの絵画「ラス・メニーナス」をネットで探して見て見たり、お城の写真集を買って見たり.....   ジャンケレヴィッチが書いた「ラヴェル」という音楽専門書を読んだり....  この本は、物凄く中身の濃い本で大変勉強になりましたが難しかったです。

何か他にイメージになるものは?と試行錯誤していた時、ふと思い出した絵本がありました。。その昔、エロール・ル・カインという挿絵画家の絵本が大好きで買い漁ったことがあり、その中の「いばら姫」の挿絵に「あぁこんな感じかしらん?」という絵を見つけました。ピアノを弾く時に楽譜からイメージをどう膨らませるか?は個々の自由なので正解は無いのですが、その時の私には絵本の挿絵と音楽が嵌り、嬉しかったのを覚えています。ラヴェルはおとぎ話が好きで、シェエラザードやマ・メール・ロアなど、おとぎ話の音楽も書いていますしね......

エロール・ル・カインという挿絵画家の絵本は、とても素敵な絵が散りばめられていて、「いばら姫」は、いわゆる「眠りの森の美女」のお話です。他にも、一度見たら忘れられない挿絵の絵本が沢山あるので、ご興味のある方は書店でご覧になってみて下さい。

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2023年09月11日 12:06

映画「小説家を見つけたら」

久しぶりに映画「小説家を見つけたら」を観ました。この映画は、私の一番好きな映画の一つで、晩年のショーン・コネリー主演です。かなり渋めで静かな映画ですが、人と人の信頼関係や、凛とした人間の心の在り方などが描かれています。ショーン・コネリーは、若い頃から数々の映画に出ている名優さんですが、個人的には晩年の真っ白なお髭になってからの方が断然素敵♡に思えます!雑用に追われてちょっと心がワサワサしている時、この映画を見ると静かな気持ちになれます。

映画やドラマなどを見る時、登場人物の感情を一緒に擬似体験するようなところがありますが、ピアノの演奏も、同じような一面があります。音楽には、作曲家の意思や想いやインスピレーションを感じるものが抽象的に描かれていて、それは「文字」という媒体で表されていない分、より自由に表現できる面があり、それが芸術と呼ばれる領域だと思います。それは絵画も同じです。

楽譜の奥を読み取って、作曲家の想いを擬似体験するかのように感じているものは素直に音に表現できますが、なかなかそれを掴めない場合もあり、そこを苦心して探って行く過程も、音楽の難しいところでもあり、面白さでもあります。

映画やドラマを観て泣いたり笑ったり、本を読んで心を揺さぶられたり、絵画の世界に魅入られたり、仏像を観て静かな心になったり、旅に行って心が自由になったり、そういう体験が人の感受性を豊かにしてくれ、ピアノを弾く時の栄養になってくれます。

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2023年09月10日 12:22

「VIVANT」に使われているラフマニノフの曲について

最近、日曜の夜のドラマ「VIVANT」が話題になっていますが、このドラマの第2話の終わり頃から使われているラフマニノフの「鐘」という曲は、ピアノのソロ曲、前奏曲第1番「鐘」が原曲で、高校生の生徒さんにちょうどレッスンしているところです。ドラマではオーケストラに合唱も加わった大編成のアレンジで、より雄大な響きになっています。

8月に、この曲を高校生の生徒にレッスンしていた時のことです。いつもなら、作品の中身やイメージを説明したり、ここはどんな気分だと思う?と生徒に尋ねたりのレッスンになるのですが、生徒の演奏を聴いた途端、目の前にVIVANTの砂丘とラクダのシーンが浮かんでしまい、我ながら苦笑してしまいました。ロケ地のモンゴルの砂丘や真っ青な空の色など、見たこともない雄大な景色が鮮烈な印象でした。

ドラマでこの曲が使われたのは、追い詰められた堺雅人さん扮する主人公達が、これからラクダで砂丘を渡って生きるか死ぬかの過酷な試練に立ち向かう、というシーンです。暗雲たる雰囲気の、何か良からぬことが起きそうな暗示的なラフマニノフのこの曲はピッタリなのですが.....  ふとした瞬間、強烈な映像と音楽が結びついてしまい、その音楽を聴く度に、インプットされた映像が連鎖反応的に浮かんできてしまいます。

以前、松本清張原作の「球形の荒野」というスペシャルドラマでも同じような事がありました。田村正和さん、比嘉愛未さんらが出演され、原作が忠実に再現された質の高いドラマで、松本清張の原作も好きで何度もリピートしています。このドラマで使われていた音楽は、全てJ.S.バッハの作品で、元々私の大好きなJ.S.バッハのピアノ協奏曲第1番や、ピアノ(チェンバロ)のゴルトベルク変奏曲のテーマなどでした。現代のドラマに300年以上も前のバッハの音楽が見事にマッチし、バッハの普遍的でドラマティックな音楽の凄さを再確認した瞬間でもありました。ただ、その曲を聴くとドラマのシーンが浮かんでしまう現象は何年も経った今も続いており、一度着いてしまったこのイメージ、どうやったら消せるのでしょうねぇ....(-.-;)

ショパンの前奏曲第7番も、太田胃酸のコマーシャルの曲として定着してしまわれた方も多いのではないでしょうか? 今は亡き大作曲家のバッハやショパン、ラフマニノフは、自分の曲がバックミュージックとして使われるのをどう思っているのでしょう? 「俺の曲がこんな風に使われちゃってさぁ....」とぼやくのか、「俺の曲、もっともっと使っていいよ」とにんまりするのか、天に思いを馳せています。

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2023年09月08日 12:06

9/5 東京文化会館小ホール ピアノリサイタルを聴いて

田代慎之介ピアノリサイタル
東京文化会館小ホールで行われたピアノリサイタルを聴いて来ました。モーツァルト、バルトーク、ラフマニノフとの作品で構成されたプログラムでしたが、個人的には、ラフマニノフのピアノソナタ第2番がとても印象に残りました。ピアニストの熱い想いが観客に伝わる演奏だったと感じます。

和声の進行がとても吟味されていて、端正な中にも朗々と歌い上げられ、真摯に作品に向き合うピアニストの強い想いを感じました。ピアノの演奏は、たとえ技術的に完璧でも、人の心に響く演奏になるとは限らないのが難しいところですが、終始、観客も集中して惹きつけられていたと思います。

アンコール1曲目のバルトークも、視線が遠くに行っているような伸びやかさを感じ、前半のバルトークとはまた違った面を感じました。大先輩のピアニストが謙虚な姿勢で精進していらっしゃるのを拝見すると、あぁ私ももっと精進したいなぁ....、精進しなきゃ....と元気を頂けた演奏会でした。

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2023年09月06日 13:32

おがさわらピアノ教室

【電話番号】 080-8132-4676

【住所】 〒177-0044
東京都練馬区上石神井3丁目

【営業時間】 <レッスン時間>13:00-20:30
<受付時間>11:00-21:00

【定休日】 不定休

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