ドビュッシー「雪は踊っている」
雪空を見上げるといつも頭に浮かぶ曲があります。ドビュッシーの「子供の領分」の中の「雪は踊っている」という曲で、子供の様々な情景を描いたドビュッシーの組曲です。その4曲目「雪は踊っている」は、短いですがとても美しい曲です。はらはらと雪の降り始めを子供が見上げているような感じで始まり、雪がだんだん強くなり、もうもうと降る気配になり、最後は夜更けにしんしんと積もる雪のように感じます。
以前、この曲を小学4年生の生徒の演奏会用にレッスンしていた時のことです。初めてのドビュッシーで、何とか通せるところまではスムースに行ったのですが、その先、目の前に映像が出てくるようなイメージを持って弾く、という段階が難しく、教える私も生徒も共に苦労しました。ドビュッシーは映像を音楽に表現しているので、やはりリアルなイメージを持って弾くことが、生き生きした演奏につながります。そこで、私の大好きなエロール・ル・カインの絵本の「雪の女王」の挿絵や、映画「ナルニア国物語」を紹介してみました。「ナルニア国物語」はファンタジー映画で、ルーシーという少女がクロゼットの奥から不思議な世界に迷い込むお話で、迷い出た先が一面の銀世界、雪がとても美しい映像になっています。この映画を見てから、その生徒の演奏がとても生き生きしたのを良く覚えています。
ドビュッシーは、演奏しながら映像が目の前に浮かんでくるようなイメージがないと自分の音楽にならないところが難しいですが、映像を想像しながら追い求め、四苦八苦する過程がまた楽しいところでもあります。
2024年02月05日 23:41