プレトニョフ:ラフマニノフのピアノ協奏曲 全曲演奏会第2夜を聴いて
これほどラフマニノフの音楽で癒されるものか.....とまるで魔法使いのようです。速いパッセージは妖精が跳び回るように軽やか、静けさは心に染み入り、フォルティッシモで音が割れることもありません。桁はずれのテクニックに支えられているからこそ、なのですが、その自由奔放なイマジネーションの新鮮さに圧倒されました。一体、頭の中にどれ程の宇宙があるのでしょう.....w(`0`)w
ラフマニノフは、ともすると大衆的なバタ臭さ、煌びやかさが前面に出がちですが、プレトニョフの演奏には、仙人のように音楽を極めていながら、少年のような溌剌さがあります。「えっ??ここ、こう弾くの?」という驚きも多く、音楽が良く見えているからこそ、様々なアイデアが生きていました。
ピアノのソロ部分は、本当に言葉として聴こえます。抽象的な「音」だからこそ、孤独なつぶやき、憂い、喜びなどが自由に表現され、心の奥にスーッと入ってきます。
でも、プレトニョフもチャイコフスキーコンクールで優勝した若い頃は、今とは全く違い、いわゆるヴィルトォーソ的なピアニストだったのに、人間は変わるものだなぁ、とつくづく感じました。最も、凡人がどんなに努力しても同じにはならないのが悲しいですが.....( ´Д`)
世界的な巨匠のピアニストでも、技術は完璧でも意外に面白くなかったり、心に響かない演奏もあります。でも、プレトニョフのピアニストとしての数少ない演奏会は、何年通っても、毎回、音楽の喜びを感じさせてくれます。真に美しいものを追求し、表現できる芸術家です。
ロシアがウクライナへの戦争を始めてから、政治的立場によりロシアの管弦楽団の監督を追放されてスイスに移り、新しいオーケストラを立ち上げたと聞きます。そのオーケストラとの共演の録音、出してくれないかしらん?....♪(´ε` ) 神様、どうかプレトニョフ様がいつまでも元気でピアノを弾いてくれますように.....
プレトニョフ愛用のSHIGERU KAWAIピアノ
2023年09月21日 23:51