「VIVANT」に使われているラフマニノフの曲について
最近、日曜の夜のドラマ「VIVANT」が話題になっていますが、このドラマの第2話の終わり頃から使われているラフマニノフの「鐘」という曲は、ピアノのソロ曲、前奏曲第1番「鐘」が原曲で、高校生の生徒さんにちょうどレッスンしているところです。ドラマではオーケストラに合唱も加わった大編成のアレンジで、より雄大な響きになっています。8月に、この曲を高校生の生徒にレッスンしていた時のことです。いつもなら、作品の中身やイメージを説明したり、ここはどんな気分だと思う?と生徒に尋ねたりのレッスンになるのですが、生徒の演奏を聴いた途端、目の前にVIVANTの砂丘とラクダのシーンが浮かんでしまい、我ながら苦笑してしまいました。ロケ地のモンゴルの砂丘や真っ青な空の色など、見たこともない雄大な景色が鮮烈な印象でした。
ドラマでこの曲が使われたのは、追い詰められた堺雅人さん扮する主人公達が、これからラクダで砂丘を渡って生きるか死ぬかの過酷な試練に立ち向かう、というシーンです。暗雲たる雰囲気の、何か良からぬことが起きそうな暗示的なラフマニノフのこの曲はピッタリなのですが..... ふとした瞬間、強烈な映像と音楽が結びついてしまい、その音楽を聴く度に、インプットされた映像が連鎖反応的に浮かんできてしまいます。
以前、松本清張原作の「球形の荒野」というスペシャルドラマでも同じような事がありました。田村正和さん、比嘉愛未さんらが出演され、原作が忠実に再現された質の高いドラマで、松本清張の原作も好きで何度もリピートしています。このドラマで使われていた音楽は、全てJ.S.バッハの作品で、元々私の大好きなJ.S.バッハのピアノ協奏曲第1番や、ピアノ(チェンバロ)のゴルトベルク変奏曲のテーマなどでした。現代のドラマに300年以上も前のバッハの音楽が見事にマッチし、バッハの普遍的でドラマティックな音楽の凄さを再確認した瞬間でもありました。ただ、その曲を聴くとドラマのシーンが浮かんでしまう現象は何年も経った今も続いており、一度着いてしまったこのイメージ、どうやったら消せるのでしょうねぇ....(-.-;)
ショパンの前奏曲第7番も、太田胃酸のコマーシャルの曲として定着してしまわれた方も多いのではないでしょうか? 今は亡き大作曲家のバッハやショパン、ラフマニノフは、自分の曲がバックミュージックとして使われるのをどう思っているのでしょう? 「俺の曲がこんな風に使われちゃってさぁ....」とぼやくのか、「俺の曲、もっともっと使っていいよ」とにんまりするのか、天に思いを馳せています。

2023年09月08日 12:06