シルバーウィーク美術館巡り「藝大式 美術のミカタ」展と「大英博物館日本美術コレクション」展
「藝大式 美術のミカタ」展は、他にはない視点の展覧会で、芸大生になった気分で12の講義内容を勉強してみよう、という面白い展示でした。1限目〜12限目という設定で芸大の美術科の学生がどのように学び、どのような過程を通るのかなど、頭の柔らかい芸大ならではの見せ方。西洋画の模写の仕方に始まり、日本画研究、彫刻保存の修復など、専門的な部分の裏側を垣間見ることができて楽しかったです。個人的に印象深かったのは、1限目の西洋画の模写、5限目の古典模写の仕方、6限目の彫刻のコーナー。
1限目の会場では現役の芸大生が実際に模写をしていて、うわぁ~やはり上手!!現在何日目の行程であるか明示されており、この日数でここまで描くのかぁ....とビックリ。そのコーナーの模写は、模写をされる絵と模写をしている絵が全く異なり、自分のやりたい方向性で描く個性的なものでした。こちらは撮影禁止でしたが他の会場は撮影可。5限目では古典絵巻などの模写の「上げ写し」という技法が紹介されており、全く違う模写のスタイル。こちらは1日の作業がわずか500円玉程度の範囲で正確で緻密な技術が求められ、恐ろしく根気のいる作業....。なるほど〜こうやって修復や研究がなされていくのかぁと興味深かったです。

6限目の彫刻部門では、模刻から学ぶ仏像の保存修復がテーマで、奈良が大好きで多くの仏像を見てきた私には親密さを感じてしまう会場でした。仏像は東大寺の盧舎那仏のように巨大なものから小ぶりのものまで色々ありますが、私のお気に入りはやはり秋篠寺の「伎芸天」と室生寺の十一面観音像。どちらも柔らかなお顔でちょっと色気があります。唐招提寺の千手観音像や興福寺や円成寺の運慶の力強い仏像も好きですが..... 今回の藝大展では、彫刻科だった新納忠之助という芸大生の卒業制作の「渡海達磨像」がすごかった.....これを20代前半の学生が作ったのかと思うと口あんぐりです..... 生命力のある達磨像が波に乗っているのでしょうか?その佇まいは風や波に揉まれている様を想像させ、生き生きとした生命力があり、遠くを見る視線は強い意思があり、人を惹きつけて止まない魅力がありました。

同じく上野にある東京都美術館で開催中の「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱」展、こちらでも日本美術を堪能しました。大英博物館から里帰りした日本美術の逸品がずらりとありましたが、中でも写真撮影OKだった必見の襖絵が、狩野宗眼重信の「秋冬花鳥図麩」。青森の旧家・宮越家とロンドン、シアトルに分かれて保存されていた襖絵が、実は1枚の襖絵だったということが近年わかり、150年ぶりに再会して1つの絵として展示されたものです。あまりに大きい絵でガラスケースに入っていた為、写真写りは良くありませんが、とても美しい狩野派の絵でした。日本画を描いていた母に連れられて幼い頃によく上野の美術館に行っていた当時、日本画の良さはあまりわかりませんでしたが、年を経て美術館をめぐるようになると、日本画の素晴らしさを感じます。西洋音楽を専門としている事もあり、自宅のリビングやレッスン室は西洋画の複製画ばかりですが、日本画を飾る畳の部屋も欲しかったなぁ..... それに加えて実家の母が描いた絵も、そのうち持って行ってねと言われたりして、どう飾ろうかしらん....

2026年09月29日 23:08
