ドビュッシー「喜びの島」の風景
ドビュッシーは眼で見たものからインスピレーションを感じて作品を創ることが多い作曲家ですが、「喜びの島」もヴァトーの絵からインスピレーションを受けて作曲されました。つい絵を見たくなりヴァトーの画集を引っ張り出してパラパラめくると、「シテール島への船出」「シテール島の巡礼」という似た絵が2つあります。アントワーヌ・ヴァトーはフランスのロココ美術の画家で、ドビュッシーが見たのはルーブル美術館所蔵の「シテール島の巡礼」でしょうか? ギリシャ神話の美と愛の女神ヴィーナスが辿り着いた島の風景が描かれています。独身者がその島に行けば伴侶が得られ、恋人たちが行けば幸せになれる、という世界観。宮廷貴族のような服装の恋人達、たくさんのキューピッド、ヴィーナスなど、幸せなカップル達が過ごす一場面が切り取られています。ヴァトーは他にも似たような絵が多く、もしかして病弱だった自身の夢の世界を求めてこんな絵を描いたのかしらん?

「喜びの島」の冒頭、フルートを思わせる旋律に始まり、揺れ動く波のような音型が現れて場面が広がります。時々波がザブ〜ン!と来たり.... 曲が進むと幸せ感あふれる和音とメロディが5連符に乗っかって登場し、恋人たちのワクワク感を感じます。次に速いパッセージが現れ、背中に羽のついたキューピッドが飛び回っているよう..... 「おぉ!島が見えた!」と思わせる和音と大波が来たり、島に近づいて行く時間の動きが見えたり、帆が風を受けて進み、天からキラキラと金粉が降り注ぎ..... いよいよ島に上陸か?と思わせるG♯音に乗ってドキドキ感が増し、船のスピードが速まり、最後は高揚感が高まって幸せの絶頂へ...... あれ?この世界観、今読んでいる「本好きの下剋上」の女神のシーンや登場人物の感情と似てる?....... ちょうど読み終えたばかりの本のクライマックスと重なってしまいました.... ☆*:.(≧▽≦)。.:*☆ 音楽は自由なので、音を聴きながら本で読んだ一場面がふと出てきたり、映画のワンシーンが見えたりすることもよくあります。ドビュッシーの音楽は色も沢山見えてきますが、この人、もしかして色聴を持っていたのかしらん? 昔、色聴を持っている作曲家が知り合いに一人だけいたけれど、音が色に見える感覚ってどんな感じなのか、話を聞いてみたかったなぁ.... シベリウスの第1番の交響曲の出だしはブルーグレー、3番の交響曲の冒頭は黄緑かな?ぐらいの感覚は私にもありますが、色調を持っている作曲家って、どんな風に見えるのでしょうねぇ。スクリャービンがハ長調が赤に見える、という感覚は同感できないけれど....ハ長調ってやっぱり白じゃない?

2026年08月28日 11:18
