神護寺・特別展
国立博物館で開催されている「神護寺」展に行ってきました。普段はご開帳されない貴重なものばかりで圧倒される美術展でした。空海が唐から持ち帰った真言密教がどのように日本で広められていったのか?、その原点がわかりやすく解説され、重みのあるご本尊の仏像や曼荼羅に思わず見入ってしまいました。よくこれだけの秘仏や国宝が並べられたなぁΣ('◉⌓◉’)と驚くばかりです。一番初めに弘法大師像の板のレリーフがあり、とても趣きがあリましたが、両界曼荼羅(高尾曼荼羅)に非常に圧倒されました。弘法大師・空海が唐で学んだ密教の内容が4メートル四方の紺の布地に金泥と銀泥で描かれたもので、仏の世界が体現されています。大日如来を中心に、周りに4百数十体の仏様達が、気の遠くなるような精密さで描かれ、大変美しいと同時に何か吸い込まれるような気配があります。4メートルの高さの曼荼羅ともなると大きすぎて、下から仰ぎ見ても詳細が見えません。それを補うために開設されていた8Kの拡大映像や解説が非常にわかりやすかったです。曼荼羅が途方もない労力を尽くして作られたものかを思い知りました。大日如来というと、私の頭に浮かぶのは京都の東寺の立体曼荼羅、奈良の円成寺の大日如来像(若かりし運慶の二十代の作品)ですが、この曼荼羅に描かれた大日如来は、果てしない宇宙の大きさを感じさせます。
後半には、神護寺のご本尊の国宝・薬師如来立像もありましたが、こちらはそのお顔の厳しさに驚きました。奈良の古寺が大好きで今まで多くの仏像を見て来ましたが、薬師如来像というと薬師寺や新薬師寺の穏やかな表情の仏像が頭に浮かびます。神護寺の薬師如来像は、それとは全く違って険しい表情をしておられますが、一度見たら忘れない仏像でした。他にも国宝の虚空蔵菩薩像が五体、面白いポーズを取っている十二神将の展示など、堪能しました。
真言密教など宗教の詳しい知識はありませんが、日本人の原点の心象風景を見た気がします。毎年のように行っている奈良や京都の仏像にまた会いに行きたくなりました(*´◒`*)
2024年08月30日 11:27