スーパースタートリオ(パユ、ル・サージュ、ジャン=ギアン・ケラス)の演奏を聴いて

ピアノトリオの曲は沢山ありますが、フルート、ピアノ、チェロの組み合わせのトリオは少なく、ヴァイオリン、ピアノ、チェロのトリオの曲のフルート版です。でも元々フルートのために書かれた編成なのかと思わせるような、とろけるような調和の取れた演奏でした。
ハイドンのトリオ2曲の後、日本人の作曲家である細川俊夫さんの「レテの響き」という作品が演奏され、この曲がプログラムの中で一番強烈な印象でした。ゾワゾワするような狂気をもつ独特の雰囲気、お能のような幽玄な世界観が見え隠れし、まるで古事記の一場面が目の前で繰り広げられているようでした。目の前にコバルトブルーの空間が現れ、濃い霧が立ち込めた竹藪の中にいるようにも感じました。「レテ」というのはギリシャ神話に登場する忘却の河を指すとのこと、消失の悲しみと生成の希望が同時に存在する世界が表現されているようです。この作曲家の作品を他にも聴いてみたいなぁ.....フルートとピアノのデュオの作品はないかしらん?
王子ホールの会場で販売していたジャン=ギアン・ケラスの著書「バッハ<無伴奏チェロ組曲>との旅」という本が面白そうだったので購入し、読むのが楽しみです。J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲は大好きで、車で移動中によく流しますが、ケラスの<無伴奏チェロ組曲>がとても気になり、CDも買ってしまいました。室内楽はソロと違う難しさや魅力がありますが、スペシャリストの演奏会を2晩も聴けて本当に勉強になりました。
ジャン=ギアン・ケラス著書


2025年10月03日 22:12